研究課題
これまでに得た調査データを分析し、以下の結果を得た。①-A. 幼児の保護者を対象に行った調査で、ストレスを感じる様子の見られる幼児が最も多い時間帯は夕方であった。いずれの時間帯でもストレスを感じる様子がない幼児は、朝型で心身の不調の頻度が低かった。B. 朝食を毎日定時に、栄養バランスのよい朝食をとっている幼児は心身の不調が少なかった。また、朝食での納豆摂取の幼児の朝型化効果は、朝食でのトリプトファン摂取量増加によると示唆する結果を得た。②幼児と保護者の概日タイプ度の差が小さいほど、幼児の休日の就寝時刻は遅く、休日の朝に寝坊する傾向がみられ、大人と子供の生活時間を分けることで、子どもの睡眠衛生が保たれることが再確認された。③幼児教育に携わる保育士・幼稚園教諭のバーンアウト傾向と概日タイプの関係を調査したところ、バーンアウト傾向の高い者は、起床に関するスコアが夜型化し、就床に関するスコアが朝型化することで、休息期が伸びる傾向が見られた。④学生を対象に行った調査では、夜間に活動する学生のうち、その活動で強いストレスを感じる学生は夜型で、平日の睡眠時間が長かった。ただし、身体運動を伴う活動では、趣味で行う緊張状態を伴う夜間の運動は夜型化を引き起こすが、学生アスリートでは、夜間、心理的刺激を受ける運動が朝型化を起こす可能性が示唆された。音楽の嗜好とストレス傾向、概日タイプ度に関連が見られ、特に、激しい曲調を好んで聴く学生では、夜型生活や睡眠習慣の乱れによりストレス傾向が高まると、ストレス解消や励ましを求めて音楽を聴く傾向があることが示唆された。以上の通り、生活リズムの乱れとストレスの間には強い関連があり、心身の不調を引き起こすこと、特に夜間の強いストレスは体内リズムを乱す可能性が示唆された。子どもたちの心身の健康維持には、夜間の過ごし方にも注意を払うことが必要である。
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Biological Rhythm Research
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DOI: 10.1080/09291016.2018.1512300