研究課題/領域番号 |
16K01876
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中谷 奈津子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (00440644)
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研究分担者 |
関川 芳孝 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (10206625)
鶴 宏史 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (80411932)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保育所 / 認定こども園 / 生活課題 / 保護者支援 / 組織的支援 / 早期発見 / リーダーシップ |
研究実績の概要 |
本研究では、保育所における生活課題を抱える保護者への組織的支援について①生活課題の早期発見から他機関連携に至る保育所内外の支援プロセスの開発、②生活課題の早期発見・早期対応や保育所内外の支援プロセスに影響を及ぼす組織的要因の検討、③それらを踏まえた保育士研修プログラムの開発を行うことを目的としている。 平成28年度にはこれまでに実施したアンケート調査を詳細に分析し、学会発表につなげた。1点は、「生活課題を抱える子どもや家庭」と判断するための着眼点の整理、さらに、生活課題の早期発見・早期対応に係る支援プロセスの整理である。これらは、日本保育学会第69回大会において口頭発表を行っている。また園長のリーダーシップが園内職員の保護者支援の在り方に及ぼす影響について分析を行い、ヨーロッパ乳幼児教育学会(EECERA)においてポスター発表を行った。そこでは、園長のリーダーシップが、職場風土、日常の業務、保護者支援への自己評価などに強く影響していることが明らかになった。 以上の研究成果を踏まえ、2月には現職の保育士、園長を対象とした研究報告会を行い、これまで得られた研究成果を報告するとともに、現場での困難や課題を共有し、これからの方向性を考える機会を持った。 今後は、大阪府下における大規模調査のさらなる分析を行い、早期発見・早期対応に関連する組織的要因の検討を行う予定である。また現場研修のためのブックレット作成の企画もしており、研修プログラムの開発につなげていくものとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度には、2本の研究の柱があった。1つは支援プロセスの試行と改良、もう一つは量的調査の分析と発信である。量的調査の分析と発信については、学会発表、論文執筆も行い、保育現場への研究報告会も実施したことから、順調に進んでいると判断できる。 もう一つの柱である支援プロセスの試行と改良についてであるが、申請時には、M-D&Dを活用した支援プロセスの開発を検討していたものの、多忙な保育現場の協力を得るという課題から、今年度の実施は困難であった。また、すでに予備調査、大規模調査、エキスパートチェック等の実施から支援プロセスはほぼ抽出されており、園内の組織的対応における有効な結果も導き出されている。以上のことから、支援プロセスのさらなる精緻化よりも、保育士の研修プログラム開発に力点を置きつつ今後の研究を進めていきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の目標は3点ある。 (1)引き続き大規模調査の分析を行い、早期発見・早期対応に関連する組織的要因等の検討を行う。 (2)子どもの貧困に重点を置き、多様な専門職が連携・協働して保護者支援に当たる海外の先駆的な保育施設にインタビュー調査を行い、日常の観察、他職種連携に必要な観点とは何か、どのような教育・研修を受けてきたかなどを明らかにする。 (3)大阪府を事例とし、日本の保育施設における保護者支援の「困りごと」「保護者支援の実態」をより明らかにするためにアンケート調査を行い、「必要と思われる研修」を明確化していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
支援プロセスの試行と改良について、未実施のため、その分の謝礼及びデータ化のための費用が残となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度にはブックレットの出版を予定しており、その費用が当初の見積もりを上回ることから、今年度の残を当てるものとする。
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