研究課題/領域番号 |
16K01877
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
椎野 亜紀夫 北海道科学大学, 工学部, 教授 (00364240)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自然遊び / こども / 三世代 / GIS |
研究実績の概要 |
H28年度に計画していた先進事例視察として、アアルト大学(フィンランド共和国)准教授Marketta Kytta氏(都市計画学)を訪問し、子どもの遊び環境と自然に関する意識の世代間調査結果に関する意見交換を行った。ヘルシンキ中心市街地の市民(高齢者、成人、こどもの三世代)を対象として、地域資源として重要と考える要素に関する調査を行った結果、高齢者と成人では自然要素を重要な資源として指摘する比率が高くみられたのに対し、こどもでは資源として重要と指摘する比率が高齢者や成人と比較して40%未満と著しく少ない結果であった。森と湖の国と言われるフィンランドにおいても、日本と同様にこどもの自然環境に対する意識や関心が大人と比較して低くなっていることが確認された。また外出の自由度に関する国際比較に関する研究結果として、フィンランドでは子どもが外出する際の自由度がきわめて高い(行き先を自ら決定し、自分一人で外出する)状況であるのに対し、日本では外出の自由度が低い(行き先を自分一人で決定できず、一人で外出する機会が少ない)状況であるとの報告を受け、子どもが外出する際の安全確保など社会状況の際が大きく影響しているのではないか、との意見交換を行った。 またクオッパヌミ基礎学校(Kuoppanummi koulukeskus)を訪問し、理科や総合学習の授業方法について視察を行ったほか、フィンランドの小学校理科教科書(自然・環境分野)を資料として購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度はフィンランドの小学校視察、研究者との意見交換等を行い、これを踏まえてH29年度に予定している調査実施に向けた対象候補地の検討を行った。条件として研究機関からのアクセスがよいこと、三世代(祖父母世代、親世代、子世代)の調査対象者が一定数以上居住している地域であること、都市地域でありながら一定規模の樹林地など自然性が豊かなエリアに近接し、自然資源へのアクセスが比較的容易であることなどを考慮し、対象候補地を札幌市手稲区金山地区に絞り込み、空間条件の整理を行った。また小学校や近隣組織などをはじめとする関係機関への調査依頼準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度から研究代表者の所属機関が北海道科学大学(札幌市手稲区)から札幌市立大学(札幌市南区)に変更となったことから、H29年度実施予定の調査対象地を当初予定していた札幌市手稲区金山地区のほか、研究機関からのアクセスがよい札幌市南区石山地区を候補地とし、両地区のいずれか(もしくは2地区の両方)を調査対象地として調査実施することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算計上し購入予定であったGISデータについて精査した結果、研究遂行上必要とされるデータの一部がWEB上で無償配付されている電子データで代用可能であったことから、この部分の使用額を次年度に繰り越し活用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
親世代・祖父母世代への調査実施にあたって、調査票に添付予定の過去の自然資源の実態(空間分布)に関する文献・資料・地図等が不足していることから、これらを追加購入し調査票に加えることで回答内容の精度向上をはかる。
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