研究課題/領域番号 |
16K01879
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
申 紅仙 常磐大学, 人間科学部, 教授 (80382828)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リスク認知 / 保護者 / 東日本大震災 / 子どもへの影響 |
研究実績の概要 |
本研究では、子ども(特に就学前後)を持つ親が福島第一原子力発電所事故によって、新たに抱くこととなった放射線不安について調べることを目的としている。Web調査・質問紙調査によって人々のリスク認知について調べた。 実施時期:2018年9月-11月 方法:調査会社を通して福島県を中心にWeb調査および質問紙調査を行った。質問紙調査:1700郵送、有効回答205。Web調査:300回収。 質問内容は、申・正田(2000)で実施された項目を精査・追加した。具体的には、様々な危険事象について多面的に問う項目、災害時の行動、防災のための準備状況、原子力利用(態度:トレード・オフ、考え方)多面的に調べる項目、自由記述、デモグラフィック要因、面接希望調査記入欄などを準備した。 今年度は、地域ごとの違いを知るために昨年度に行った質問紙調査と同じ項目を使用した。また昨年度の結果を踏まえ福島県在住者を対象とした調査を重点的に行った。以下、主たる結果を昨年度に実施した福島県以外の都道府県在住者と比較しながら記す。全体として昨年度の質問紙調査結果とほぼ同様の傾向が得られた。すなわち、①放射線リスクに対する不安は依然高い傾向にあったが、放射線被害を防ぐための対策は時間経過とともに実施率の低下が見られた。次に、人々の原子力利用に対する不安や態度を、A文(賛成)またはB(反対)を選択しtrade-offの側面から考えてもらった。その結果、②福島県以外の住民に関して原子力利用に対する反対態度は依然強いことが明らかとなった。また③福島県在住者の態度は、他の地域よりも好意的であった。ただし他地域に比べ依然n数が少ないため、ただちに判断することが出来ないものの、20年前に実施された大規模調査研究(同じ項目内容)と同様の傾向が得られた。今後は、Web調査および質問紙調査で得られた結果をもとに面接調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究初年度である、2016年4月に熊本地震が発生し、深刻な被害がもたらされた。そのため、本研究の主テーマであるリスク認知への影響が少なくないことが考えられたため、調査会誌までに一定期間をおくこととした。リスク認知レベルは時間経過によってある程度まで元の水準に戻ることが多いことが分かっているためである。 また同時に、研究計画を変更し計画期間も3年度から4年度に延長した。最終年度である今年度は、初年度行う予定であった面接調査を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、面談調査を行う予定である。 面談予定者はすでに確保されており、滞りなく進めていく予定である。 面接調査は、昨年度調査を通して応募いただいた方を対象としており、8月-10月を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を1年間延長し、2019年度まで研究を継続することとなった。次年度に繰り越した金額は、面接調査の旅費と謝礼として全額使用する予定である。
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