研究課題/領域番号 |
16K01890
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
渡邉 志 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 准教授 (60455144)
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研究分担者 |
白濱 成希 北九州工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10280489)
森 幸男 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (50271490)
松本 有二 近畿大学短期大学部, その他部局等, 教授 (30387518)
塚本 博之 静岡産業大学, 情報学部, 准教授 (10308702)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 主観評価測定 / コミュニケーションツールの活用 / 加速度脈波解析 / 主観評価と生体信号との相関 / 対象者の分類 / 健康相談活動支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、学校における健康相談活動を支援するシステム構築に必要となる基礎的事項のうち、特にコミュニケーションに着目して研究を遂行している。本年度は、前年度の成果および研究の継続性を考慮し、後述する三つの分野を設定した。我々は、これらを学校における健康相談活動支援システムに寄与させるべく研究活動を実施してきた。 最初に、「コミュニケーション要素の主観評価についての少量の回答数に対する効果的な視覚化と特徴抽出」について、コミュニケーション要素の主観評価測定へのVisual Analog Scale(以下「VAS」と称する)の応用に着目した。その結果、VAS主観評価測定の少数の回答結果から、視覚化と特徴抽出が可能な手法を開発・提案することができた(開発・提案した手法:基本統計量・個々の主観評価を明示した箱ひげ図の描画・デンドログラム(樹形図)の描画による階層的クラスタリング分析・k-meansによる非階層的クラスタリング分析といった手法の組み合わせ)。 次に、「超音波領域における1/fゆらぎ音の聴取における情動を制御する要素の特定」については、健康相談活動支援における対象者の情動を安定化し、先入観を与えない音源としての超音波領域の1/fゆらぎ音を提示した結果、1/fゆらぎ音のゆらがせ方により情動の制御が可能となる示唆を得ることができた。 さらに、「コミュニケーションロボット導入が健康相談活動支援に及ぼす影響」については、保健室にコミュニケーションロボットを設置し、VASによるコミュニケーション要素についての主観評価を測定し、前述したVASによる主観評価視覚化解析手法により、その特徴を示すことが可能になっている。 以上の成果により、我々が既に開発し、提案してきている健康相談活動支援システムに対し、上記のようなテーマに沿ったツールが有益であるものと考えるに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「コミュニケーション要素の主観評価についての少量の回答数に対する効果的な視覚化と特徴抽出」については、査読付き原著論文1本として公表する他、国際会議での発表も行い、"Best Presentation Award"を受賞した。さらに、国内学会発表も行っている。 また、「超音波領域における1/fゆらぎ音の聴取における情動を制御する要素の特定」に関連する研究については、査読付き原著論文1本・国際会議発表2件・国内学会発表2件という成果を得ている。 一方、「コミュニケーションロボット導入が健康相談活動支援に及ぼす影響」に関しては、国内学会での発表を2件行っている。 さらに、以上の成果に関連した招待講演を2件行っている。 以上の成果を踏まえ、研究目的に照らし合わせたうえで自己点検した結果、現在までの達成度について「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果により、少数の主観評価の回答であっても視覚化と特徴抽出が可能である手法の開発と提案ができた。この成果を健康相談活動支援に資するような応用について継続研究をしていきたい。 一方、「超音波領域における1/fゆらぎ音の聴取における情動を制御する要素の特定」について、1/fゆらぎのゆらがせ方が情動を制御する要因ではないかとの示唆が得られたので、引き続き基礎的データの収集に努め、モデル化を目指した継続研究を行いたい。 さらに、「コミュニケーションロボット導入が健康相談活動支援に及ぼす影響」については、保健室での実証実験を継続し、コミュニケーションロボットの評価を行い、健康相談活動支援への影響を考察していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初計画していた研究打ち合わせや学会参加を取りやめたことと、予定していた論文掲載が遅延していることによる。 (使用計画) まずは、次年度早々に論文掲載が確定する予定であるため、論文掲載料の支出が見込まれている。この論文掲載後も何本かの論文投稿を予定しており、論文掲載料の支出は本年度よりも増加する見込みとなっている。次に、次年度にも国際会議および国内会議での研究発表や研究者間の打ち合わせも積極的に行うことを計画しており、その結果、研究発表および研究者間の打ち合わせの両者に必要な経費について、本年度よりも増加する見込みである。以上のような使用計画により、本年度の繰越金と次年度の助成金とを合わせ、適切かつ有益に使用可能となる見込みが立っている。
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