実際の家庭での乳幼児の行動調査を行った。一番家庭内の事故が多い夕方の時間帯に調査をした。家庭内に4台のカメラを設置した。さらに、家庭内での乳児の視線計測をするため、乳児の視線カメラもさらに小型化し、脱着が簡単な帽子型タイプのウエアラブルカメラを装着した。一つ家庭での調査は3日間行い、映像として記録した。家庭内での調査は14名(月齢8-14)行った。年齢的に独り立ちができないため、全ての参加乳児はハイハイで室内を動き回っていた。室内のものの多くは自分の頭より上にある為、視線をあげる動作が頻回に見られた。例えば、テレビを見る時、近づいて見ようとする為、必然的にかなり視線が仰角になっていた。実験室での調査結果と同様、1つの物に興味を持っている時間が極めて短く、色々なところへハイハイで移動し、手で確かめる「探索行動」が多く見られた。多くの子どもは与えられたおもちゃで遊ぶより、テーブルや椅子の下を動き回り、母親のバッグ、キッチン用品などでおもちゃではないもので遊ぶことが多かった。 今回の研究で、乳児の日常生活を乳児の視点で調べることができた。母親が家事をしている間に、乳児は常に室内の探索を行っており、その中で危険な物に遭遇し、異物誤飲などが起きる可能性が示唆された。これらの結果は、事故予防の対策に有用な情報となると確信する。今回は独歩前の乳児について行ったが、1人歩きが出来る様になると、視線や移動距離も大きく異なる。対象年齢を変えて、さらに調査することにより、新たな知見が得られると考えられる。
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