研究課題/領域番号 |
16K01897
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
竹内 靖子 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (30554208)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 発達障がい / 野外活動 / 共生キャンプ / 福祉 / セラピューティック・レクリエーション / 実践研究 / ネットワーク / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、発達の気になる(発達障がいのある)子どもたちの生活スキルの向上を目指した、キャンプ(野外)活動プログラムの開発と野外活動支援システムを構築することである。キャンプ参加者の「家族支援」と「スタッフ養成」プログラム開発も同時に行うことで継続的な活動を目指している。 平成28年度は、主に発達の気になる子どもの生活スキル向上につながるキャンププログラム要素の明確化に関する研究に取り組んだ。 ①実践研究として、発達の気になる子どもとその家族を対象に、キャンプ(1泊2日)を年3回行った。子ども向けのプログラムは、毎回決まったスケジュールの中に、季節を感じる自然体験(竹細工等)や生活体験(自炊等)を取り入れ実施した。さらに、親対象のプログラムも行った。親子共に行うプログラムは「ファイアー」「自炊」のみだが、個別のニーズに合わせ臨機応変に対応した。評価方法については、子ども対象に、プレキャンプや各キャンプ終了前の振り返り会での主に選択式アンケートと描画(絵日記・バウムテスト)を行いデータ収集した。家族に関しては、キャンプ後、記述式アンケート(評価・感想・子どもの変化)を実施しデータを収集した。障がいや個々の環境により、生活スキルの状況が違うため、日本版Vineland-Ⅱ適応行動尺度(Sparrowら著、辻井ら翻訳監修2014)を導入するための検討を行った。 ②2016年10月、Gage氏(ノースカロライナ自閉症協会ソーシャルレクリエーションサービスディレクター)より発達の気になる子どもへのキャンプの歴史・実践・支援システムについて連携研究者とともに学ぶ機会を得た。「参加者」のニーズを満たし、彼らが自信をもって新しいことに挑戦できるプログラムを実施するために「家族」「スタッフ」の関係づくりをしながら、「参加者」を理解し、支援することが重要であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究は、計画書に基づいて順調に進んでいる。 発達の気になる子どもとその家族対象の「キッズファミリー共生キャンプ」を年3回継続して実施できている。さらに、視察予定だったキャンプ場(アメリカ・ノースカロライナ)のディレクターの来日に伴い、日本(大阪)で視察内容に関するシンポジウムを開催することとなり、連携研究者や様々なバックグラウンドの人(福祉・教育・医療・キャンプ・レクリエーション関係者、当事者・家族・キャンプスタッフ等)と共に貴重な現地情報や、日本での取り組み事例、シンポジウムからの学び・感想についてのアンケート調査結果を整理した報告書を作成できた。加えて、アメリカ・ハワイにおいても障がいのある人のレク・キャンププログラムを通した生活支援についてヒアリング・視察することができた。実践研究資料収集も同時に行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度と同様に、発達の気になる子どもとその家族対象の「キッズファミリー共生キャンプ」を年3回実施し、発達の気になる子どもの生活スキル向上のためのキャンププログラムの開発を行う。プログラムに必要な要素を抽出するための調査は、参加者の生活力向上とプログラム別の評価との関連性に注目し行う。アンケートの量も適切かどうか再度検討し実施する。 さらに発達の気になる子どものキャンプ実践を継続するための家族支援プログラムの要素の明確化とプログラム案を作成するための情報取集を行ない実践研究につなげたい。
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備考 |
竹内靖子・石田易司編 Sara Gage, 野口和行, 竹内靖子, 木下栄二, & 石田易司著 (2017)「桃山学院大学社会学部50周年記念シンポジウム 大阪市ボランティア・市民活動センター30周年記念シンポジウム『自閉症と豊かな暮らし~キャンプ・ロイヤルから学ぶ~』報告書」エルピス社(2016年10月26-27日 大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)にて開催)
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