研究課題/領域番号 |
16K01907
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
野崎 祐子 安田女子大学, 心理学部, 准教授 (60452611)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | School bullying / Subjective well being / Life satisfaction / Social withdrawal / Meta-analysis |
研究実績の概要 |
2018年度の研究実績は、①海外データを用いたいじめ発生のメカニズムに関する定量分析 ②日本データを用いた子供の問題行動の規定要因に関する分析、③若年層のsocial withdrawalに関する先行研究の整理の3領域にまとめられる。概要は以下のとおりである。 ①児童生徒を対象として本人の属性、学業成績や交友関係、家族構成、両親や兄弟との関係、幸福度、学校での友達や担任との関係など詳細な情報を網羅したHSBCデータをもとに、学校でのいじめ発生のメカニズムについて分析した。その結果、特定の被害者が長期に渡っていじめられるというよりは、被害者と加害者の立場が頻繁に入れ替わること、それによりクラスの緊張関係が増し、児童生徒の厚生(SWB: subjective well-being)に有意に負の影響をおよぼしていることが明らかになった。分析結果は英語論文としてまとめ、国際学会(Conference on Public Health in Asia)にて発表し、多く有益な助言を得た。この論文は国際ジャーナルに投稿しており、現在修正中である(今秋ジャーナル掲載予定)。 ②学童期の問題行動の規定要因について、出生時の状況や親の就業、学歴、しつけなど家庭環境に関する情報が豊富な日本のデータを用いて検証を行った。成果は国際学会(Economics, Statistics and Econometrics of Education)で報告後、国際ジャーナルに投稿している。③メタアナリシス論文の完成に向け、先行研究を整理、内閣府調査の結果を併せて国内学会(日本公共政策学会関西研究会)で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度より職場・研究環境が変わったため、研究に十分な時間を割くことが難しかった。また、現在投稿中の論文のうち、いじめ論文は2018年早々に国際ジャーナルに投稿していたが、半年以上経過しても査読結果が出なかったため、やむを得ず投稿を取り消し、新たに別のジャーナルに投稿したという経緯がある。その後の経過は順調で、現在の修正が完了すればこの秋には掲載となる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度で完成させる研究・論文は以下のとおりである。①現在修正中の2つの論文のジャーナル掲載(Economic Policy and Analysis,Children and Youth Services Review) ②竹田敏彦 監修・編著『いじめはなぜなくならないのか―いじめ問題の深層を考える―』(仮)ナカニシヤ出版の一章「日本におけるいじめ研究のメタアナリシス(仮)」③Eastern Economic Association において研究報告(2020年3月予定)
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿していた論文の査読が大幅に遅れたため、再投稿に至った。そのため、ジャーナル掲載が2019年度にずれこみ、英文校正費用が2018年度中に発生しなかった。また、アメリカでの国際学会(2019年3月)報告(報告論文は受諾済み)が、諸事情により取り下げた。同論文は、2019年度学会にて報告予定である。
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