研究課題
(1)「プロテインチップ適合型グアニン四重鎖構造体核酸ライブラリーの創製」ランダムな塩基配列を作成するコンピューターアルゴリズムを用いて設計したグアニン塩基に富む核酸配列のグアニン四重鎖形成能を、様々な塩条件での安定性を調べることにより詳細に評価した。(2)「グアニン塩基比率を高めた核酸配列ライブラリー創製法の検討」タンパク質と様々な結合特性(選択性、親和性)を示すグアニンRNA四重鎖核酸構造体を作製するために、多様な構造、配列のグアニン四重鎖構造体ライブラリー構築法を確立した。具体的には、DNA化学合成、遺伝子工学的手法を融合することにより、配列多様性、構造的多様性を有するグアニンRNA四重鎖構造ライブラリーの簡便で効率的な合成方法を確立を目指した。(実施内容)DNAの化学合成時に塩基混合比率を変化させることにより、特定の塩基混合比を高めた核酸ライブラリーを合成することが出来る。本研究では、グアニンの塩基混合比を高めた、40塩基長の領域をランダムな基質結合領域として有するライブラリー配列をタンパク質捕捉領域として設計した。グアニン四重鎖のような安定な高次構造を形成する領域ではDNAポリメラーゼ反応は強く阻害されることから、シトシン塩基に富む核酸ライブラリーを鋳型として用い、DNAポリメラーゼを利用して二重鎖DNAへと変換した後、プラスミドDNA、大腸菌を利用してクローニングを行った。得られた大量のコロニーの中から32種類のクローンの配列解析を行ったところ、DNA化学合成時のシトシン塩基の混合比をよく反映していた。配列解析を行ったクローンは、T7 RNAポリメラーゼにより容易にグアニン塩基に富む領域を有するRNAへと変換できることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
コンピューターアルゴリズムを用いて設計したグアニン四重鎖型DNA素子の構造特性を調べた結果、いずれも期待通りのグアニン四重鎖構造を形成していることを明らかにできた。また、この手法とは全く異なる酵素化学的なグアニン四重鎖配列素子創成手法が確立できた点から、順調に進展していると考えている。
「グアニン四重鎖センサーアレイの創製」今年度までに作成できたグアニン四重鎖構造体をチップ上に固定化し、タンパク質との結合評価を行う。具体的には、DNA素子についての評価を第一段階に予定している。チップ上のDNA素子とタンパク質との結合は、タンパク質結合に伴うチップ表面での電気化学特性の変化を利用する手法、あるいは表面プラズモン分光法により評価する。「グアニン四重鎖構造のタンパク質認識能の評価」本条件で作成した四重鎖構造を指向した核酸ライブラリーを用いて,標的タンパク質に対してin vitroセレクション法を用い、タンパク質認識素子創成の可能性を調査する。具体的には、ガン関連タンパク質に対する核酸アプタマー探索を行い、さらには、アプタマーへの分子修飾によりタンパク質検出素子へと改変する。
本申請は内定通知が2016年10月であったため、当初計画していた予定とは大きく変更が生じた。遅れは解消しつつあるが、若干の次年度持ち越しが生じた。(使用計画)当初計画していた予算計画が実施時期の問題で達成できなかったが本研究を行う上での本質的な問題ではないため、来年度は持ち越した予算を有用に利用していきたい。そのためにも研究のスピードアップを意識していきたい。
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