研究課題/領域番号 |
16K01915
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
竹田 浩之 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (40609393)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 抗体 / GPCR / 膜タンパク質 / ヒスタミン受容体 / 抗体医薬 / 細胞外ループ / 人工タンパク質デザイン |
研究実績の概要 |
前年度、無細胞合成ヒスタミン受容体H1 (HRH1)の野性型及び人工デザイン抗原2種を免疫したマウス血清をWestern blotting、フローサイトメトリーなどを用いて解析した。野性型抗原とキメラ抗原を免疫した個体ではHRH1に対する抗体が検出された。しかし抗原HRH1 のN末端を切除すると結合しなくなったことから、誘導されたのはHRH1のN末端に結合している抗体であり、ループやポケット領域に結合する抗体は誘導されていなかった。一方で、細胞外領域抗原を免疫した個体ではHRH1に対する抗体は誘導されなかった。人工膜タンパク質の局所構造が大きく崩れ、抗原として機能しなかったものと考えられた。 以上の結果を受け、新たな抗原デザインに着手した。HRH1の立体構造モデルと脂質二重膜の厚さを考慮した結果、HRH1のループ領域は非常に短く、ほぼ脂質膜に埋まっていることに着目した。膜貫通ヘリックスを人工的に延長し、ループ部分が膜から露出しやすくするデザインを検討した。基本コンセプトとして、ループ部分と膜貫通ヘリックスの間にスペーサーとなるアミノ酸を1から5残基挿入した。デザインした人工膜タンパク質を無細胞合成し、ラジオリガンドアッセイによりリガンド結合能を評価した。1残基及び3残基のスペーサーを挿入した人工デザインHRH1は野性型と同等以上の結合能を示した。一方で、5残基のスペーサーを挿入したHRH1は結合活性が著しく低下した。RI標識していないリガンドとの競合実験で、人工デザインHRH1とラジオリガンドの結合が特異的であることを確認した。 ラジオリガンドアッセイの結果から、結合能を有する人工デザインHRH1を2種選定し、免疫に供するため、無細胞合成により1 mgの抗原を調製した。これらの抗原による細胞外ループ抗体誘導を評価するため、マウスへの免疫を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フローサイトメトリーなどを用いたマウス抗血清の評価を完了したこと、新たなコンセプトに基づく細胞外ループ伸長HRH1抗原デザインを考案し、ラジオリガンドアッセイを用いて人工HRH1抗原の活性評価を行ったことなどから、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、新たにデザインした人工HRH1抗原をマウスに免疫し、細胞外ループ結合抗体の誘導をフローサイトメトリーなどを用いて評価、確認する。細胞外領域に結合する抗体の誘導が確認された場合、シェディングアッセイなどを用いて抗体の機能解析を実施する。
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