研究課題
前年度に作製した、ループ部分と膜貫通ヘリックスの間にスペーサーを挿入することで膜貫通ヘリックスを人工的に延長し、ループ部分が膜から露出しやすくした改変ヒスタミン受容体H1 (HRH1)をマウスに免疫し、細胞外領域抗体の誘導を評価した。免疫した人工デザイン抗原は、3アミノ酸残基のフレキシブルリンカーを膜貫通ドメインと細胞外ループの間にそれぞれ挿入したSpacer inserted HRH1と、膜貫通ドメインの細胞外側の末端3アミノ酸を反復することで膜貫通領域を伸張したElongated TM HRHの2種である。改変HRH1 2種をコムギ無細胞膜タンパク合成系を用いて調製し、それぞれ1mgの免疫抗原を得た。各抗原をそれぞれ3頭のマウスに2週おき計4回の免疫と採血を行い、マウス抗血清に含まれるポリクローナル抗体を解析した。Western blotとBiLIA法(ビオチン化プロテオリポソームとAlphaScreenを用いた相互作用解析)では、Spacer inserted HRH1抗血清、Elongated TM HRH抗血清のいずれもが野生型ヒトHRH1に反応した。次いでHRH1を一過性発現させたHek293A細胞を用いたFACS解析を実施したところ、Spacer inserted HRH1抗血清、Elongated TM HRH抗血清のいずれもが細胞外領域に結合した。このことは、膜貫通領域を延長した人工膜タンパク質を免疫することで、狙い通りに細胞外領域に結合する抗体を誘導できたことを示している。最後に、血清から精製したポリクローナル抗体がHRH1の阻害活性を有するかどうかをラジオリガンドアッセイを用いて評価した。抗血清をProtein Gセファロースとゲル濾過にかけてポリクローナル抗体精製した。HRH1とトリチウムラベルしたH1リガンドの結合反応に精製したポリクローナル抗体を添加し、ラジオリガンド結合量を測定したが、抗体添加による阻害活性を確認することはできなかった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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