研究課題
昨年度分の蛍光スクリーニングにおいて強い蛍光成分が存在すると認められた検体のうち,コクサギ(Orixa japonica,ミカン科)について蛍光成分の分離精製を行った。蛍光成分の分離はシリカゲルクロマトグラフィーの他,逆相HPLCを用いた分離精製にて単離を行った。HPLCを用いた分離では,多波長UV検出器(PDA)の他,蛍光検出器を用いて行った。その結果,6種の新規化合物を含む37種のアルカロイドを単離精製し,構造を明らかにすることが出来た。得られた化合物群は大きく3種の骨格群である二環性共役系化合物(キノリン系),三環性共役系化合物(フラノキノリン系),多環性非共役系化合物(非共役系)に分類することが出来た。それらの代表的な化合物について,種々の溶媒における蛍光特性について検討を行った。コクサギに含有される3種の骨格のうち,DMSO中においてフラノキノリン系共役系化合物に対して強い蛍光が認められた。フラノキノリン型の化合物は,10種のうち8検体についてDMSO中における蛍光特性について詳細な検討を行った。その結果,メトキシ基の置換位置の違いにより,蛍光の可否,最大蛍光波長の大きな相違が認められることが明らかとなった。今後はさらに詳細に検討を行うことと同時に生細胞への導入を行う予定である。さらに強い蛍光成分を持つ植物エキスの探索を引き続きおこなった。昨年度の106種に引き続き,新たに構築した西部四国地域の植物150種について蛍光スクリーニングを実施した。それらのうち10種程度に対して強い蛍光成分の存在が認められた。一方,ブラジル産薬用植物Quassia amara由来の蛍光成分であるamarastelline Aに対する全合成研究については,最終段階の検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
本年は約150種の西部四国域の植物エキスライブラリの構築と蛍光スクリーニングを行った。昨年度の蛍光スクリーニングにより強い蛍光が認められたコクサギ(Orixa japonica)に対して蛍光成分の分離を行い37種の蛍光成分を含むキノリン型の化合物の単離構造解析を行った。さらにそれらの成分に対して,蛍光特性についての検討を行うことが出来た。
多種多様な植物について蛍光スクリーニングを継続する。得られた蛍光成分については,各種溶媒中の蛍光特性についての詳細な検討を行う。さらに得られた蛍光化合物について,HeLaなどの細胞を用いて生細胞への導入とイメージリングを試みる。その際に,毒性評価,蛍光部位,生体適合性などについて検討を行う。全体を通して,新規天然蛍光化合物の単離精製方法論を開拓し,確立する。
次年度,機器購入に充填する予定で,使用額を抑えた。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件) 学会発表 (15件) 備考 (1件)
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