研究課題/領域番号 |
16K01921
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大崎 愛弓 日本大学, 文理学部, 教授 (50161360)
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研究分担者 |
福山 愛保 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70208990)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 植物成分 / 蛍光物質 / 蛍光イメージリング / 活性試験 |
研究実績の概要 |
国内産木本300種からの蛍光物質の探索研究を継続している。強い青色蛍光を示すエキスを持つ候補植物から,ミカン科植物であるコクサギ(Orixa japonica)の枝について,蛍光物質の探索を行い,強い蛍光をもつフラノキノリン類を単離し,それらの蛍光特性について検討を行ってきた。これらの成分として数多くのフラノキノリン類および,フラノクマリン,新規イソプレニルインドール類などを単離し構造解析を行い,45種の成分単離し,それらの蛍光特性について検討を行った。当該年度については,これらの研究の後続研究として葉部の成分の精査を行った。その結果,数多くのフラノキノリン類の分離と新規化合物を得たが,枝部と大きな差異は見いだせなかった。最も強い青色蛍光を持つフラノキノリンであるシキミアミンについてHeLa生細胞への細胞導入を試みたが,導入することが出来なかった。そのため,死細胞としたのち,細胞導入を行ったところ,細胞核膜を染色することが明らかとなった。本事象については細胞学的に意義あることである。 一方,ミカン科植物に属する他の植物の蛍光成分を探る目的で,市場に流通している不知火(Citrus unshiu × C. sinensis)× C. reticulata)の果皮より得られた蛍光成分の探索に着手した。これらの蛍光成分は抗慢性炎症を有するポリメトキシフラボン(PMF)であることが既に明らかとなっているが,蛍光特性に関する詳細な報告がなかった。これらの成分を数多く単離し,置換基位置により蛍光波長が変化することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内産木本300種からの蛍光物質の探索研究を継続している。それらのエキスライブラリを独自に作成し,強い蛍光成分を持つと考えられるエキスについて,丹念に蛍光成分の割り出しを行ってきた。蛍光成分の分離同定については,方法論の確立を行うことが出来た。得られた蛍光成分は相当数にのぼる。これらの化合物の構造で分け,蛍光ライブラリを作成,それらの保存方法も確立を行っている。また得られた蛍光成分の蛍光特性について調べ,置換基位置による蛍光の差異について検討を加えている。その中で蛍光の特に強いものについて生細胞へ導入試験を行っている。研究としては,包括的に進められている。 細胞導入の結果は様々であるが,化合物の細胞染色については多様であり,特異性が認められることから,蛍光スキャホールドとして応用可能であると考えられる。 研究当初に得られた強い蛍光を持つアマラステリンについては,構造の簡略化や置換基導入などにより,蛍光センサーとして,研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在得られている蛍光成分について,さらに生細胞への導入試験を行い,それらの染色位置の確定を行う。染色位置の特異性によりさらに応用研究へと展開を試みる。アマラステリンAの全合成の達成により,それらを用いて,誘導体の蛍光特性を調べる。アマラステリンは,核を染色しないことから,その意義について研究を展開する。それらの応用についても思考する。一方,柑橘類より得られる蛍光成分PMFについては,さらに細胞導入や,試験管内での蛍光特性を探り,安全な蛍光成分として,診断薬などの医療や生体への応用を考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響下において,植物採集や研究協力者との研究打ち合わせが遅延しているため。本年度,時期を見て実施し,より多くの情報と植物の採取を行う予定である。
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