研究課題
これまでに明らかにした内容を基に、分子内シャペロン機能を有する前駆体プロウログアニリンの分子進化における品質管理機構の存在について焦点を絞り、研究を行った。本目的のため、ヒトだけでなく、ウナギ(魚類)およびツメバケイ(鳥類)由来プロウログアニリンを遺伝子組換え体として作成し、その立体構造形成反応を行い、反応機構について調べた。研究は順調に進み、本年度の目的を達成した。また、研究過程において新たな知見を得ることができ、さらなる検討の必要性が生じている。また、本年度が最終年度であることから、成果発表を重視した。1)ウナギおよびツメバケイ由来プロウログアニリンの立体構造形成:各前駆体タンパク質を遺伝子組換え体として調製し、それらの立体構造形成を評価した。いずれも、融合タンパク質として発現し、その後、酵素切断により入手することに成功した。それらの立体構造形成を調べたところ、当初の予想に反して、ウナギでは正しい立体構造形成が起こるにもかかわらず、鳥類では完全には正しい立体構造形成が進行しづらいことが分かった。これらの結果と、短鎖ペプチドの立体構造形成および解析結果から、分子進化機構について仮説をたてた。特に、アルファヘリックス構造への進化の理由が説明されつつあるため、カセット変異による検討も行った。2)新規生理活性ペプチドの創作:de novoデザインした新規生理活性物質のデザインにおいては、部位変異体を用いた立体構造形成実験から、分子内シャペロン機能の最終段階での重要な役割が明らかになり、予想以上の成果が得られた。結晶構造解析から明らかになった成熟体領域とプロ領域をつなぐヒンジ部位の水素結合が、立体構造形成の最終段階での選択性を制御していることが明らかになりつつある。そこで、この知見をもとに、さらなる新規生理活性ペプチドの創作に取り組みつつある。
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