研究課題/領域番号 |
16K01929
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三谷 恭雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (10358103)
|
研究分担者 |
小島 直 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30356985)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 発光生物 / ゴカイ / ルシフェラーゼ / ルシフェリン |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、富山湾の発光ゴカイ(Odontosyllis undecimdonta)について、発光基質の解析を行うとともに、より少ない基質量でも発光測定が可能となるように発光酵素組換えタンパク質発現系の改良を進めた。昨年度までに発光基質の効率的な抽出条件を見出し、さらに各種カラムにて分離し、活性画分を得ていた。今年度当初にそれら活性画分について精密質量分析を行い、いくつかの候補化合物を推定した。推定された化合物については研究分担者を中心に有機化学合成を実施しているところであり、ある程度合成が進んだ段階で活性測定を実施することを予定している。また、精密質量分析の際に、新たなカラム精製条件を見出したため、この条件での精製を進めている。新たに得られた基質画分についても随時、質量分析に供し、構造推定を行う。また、発光酵素に関してもその組換えタンパク質発現系を改良し、より少ない基質量でも活性測定が可能になる可能性を見出しつつある。ゴカイ発光酵素は、それが発光分泌粘液に含まれること、そのN末に分泌シグナルと推測される配列を持つこと、そのアミノ酸配列中に糖鎖付加シグナルが含まれること、などから分泌型タンパク質であると推測される。しかしながら、これまでの発現系では分泌生産性が非常に低く、このことが各種アッセイの感度を悪くし、結果として、基質推測へも影響を及ぼしていた。今年度、新たに導入した発現系ではほぼ全ての組換え発光酵素が分泌されることがわかり、現在、その精製法の確立を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発光基質に関して、各種カラムによる精製条件は確立できているものの、再現性において一部問題が見つかったこともあり、より確実に基質画分を回収する必要が生じ、その点で時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
基質候補化合物の有機化学合成については、引き続き進めるとともに、新たな精製条件で得た基質画分についての精密質量分析を行う。また、発光酵素については新たな発現系での生産・精製を進め、より確実な基質アッセイ系を構築することを予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度までに基質精製のためのカラムや関連試薬は揃えており、また、他の業務との関係で、今年度の採取は実施できなかったために支出額を抑えることができた。また、基質精製条件に関して、昨年度までには想定していなかった事態が生じ、進捗が遅れたため、研究実施期間を延長するとともに次年度に想定される費用を確保したため。
|