研究課題
蛍光イメージング技術はより高精度な観察手法の開発にむかっている。へリックスバンドル型タグープローブシステムを活用して細胞内の反応をミリ秒単位で観測できる手法を開発することを目的とした。また、ゲノム編集技術を利用してタグ配列をゲノムの標的遺伝子に組み込むことで恒常的なタンパク質発現を観察し、翻訳過程から局在変化までを追跡することを試みた。細胞内におけるtet-on制御によって生じるタグ付加タンパク質の発現,局在変化の追跡を実施した。標的タンパク質として膜受容体CXCR4, ヒストンタンパク質H2B, プロテインキナーゼCを選択し、それぞれにタグ配列と蛍光タンパク質mKOを融合したタンパク質の遺伝子をtet-on発現ベクターに搭載し、細胞内に導入した。Doxの添加後の時間経過に応じて、タンパク質発現、局在変化をmKOの蛍光観察によって確認を行った。各タンパク質について同じ実験観察を行った結果、H2Bにおいて最も明確なタンパク質発現の確認と核内への局在を観察することができた。次に標的タンパク質(H2B)遺伝子のためのガイドRNA(gRNA)およびドナーテンプレートを翻訳開始コドン直後にタグ配列遺伝子が導入されるようにデザインして構築した。ゲノム上への導入はCRISPR-Cas9によるゲノム編集で行ったが、HCT116細胞を利用した場合、ゲノム編集効率は平均して5%程度と低いため、293細胞を利用することにした。これにより、効率的なドナー遺伝子の導入が行えるようになった。さらにドナー遺伝子の導入をより効率化するために、ハイグロマイシン耐性遺伝子を同時に導入し、細胞の薬剤選択後にCreリコンビナーゼを利用してマーカー遺伝子を除去する系を構築した。これによりシングルセル化したタグ導入細胞を得ることができた。この手法はさまざまな遺伝子をゲノムに導入する際にも適応可能な汎用的手法である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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