研究課題/領域番号 |
16K01943
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
山崎 良彦 山形大学, 医学部, 准教授 (10361247)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オリゴデンドロサイト / 活動電位 / 伝導速度 / 海馬 / 依存性薬物 |
研究実績の概要 |
2019年度では、薬物(メタンフェタミン、ニコチン)の慢性投与による、(1)オリゴデンドロサイトでの電気的性質の変化、(2)オリゴデンドロサイトが髄鞘を形成している軸索への電気刺激による脱分極性反応の変化、(3)軸索形成突起の長さを中心とした形態変化について検討した。さらに、(4)活動電位の軸索伝導に対する影響を調べた。慢性投与の効果の検討では、異なる個体間での比較となるため、潜時差の分布の変化を検討項目とした。 メタンフェタミン慢性投与群では、オリゴデンドロサイトの静止膜電位には変化がみられなかったが、入力抵抗が大きくなっていた。また、電気刺激による脱分極性反応が有意に増大していた。髄鞘形成突起の長さには顕著な変化は認められなかった。軸索伝導に対する効果では、潜時差の量子分布が乱れる傾向にあった。このことは、メタンフェタミンの急性投与による軸索伝導への修飾効果が、軸索の部位によって反対の効果を示すことに関連すると考えられた。 ニコチン慢性投与群では、オリゴデンドロサイトの静止膜電位、入力抵抗に変化はみられなかったが、電気刺激による脱分極性反応は大きくなっていた。軸索伝導に対する効果では、潜時差の量子分布はほぼ保たれているものの、量子サイズが小さくなる傾向を示した。前年度までの検討で、急性投与による軸索伝導に対する効果・オリゴデンドロサイトに対する影響が薬物によって異なっていることを観察してきたが、慢性投与効果も同じように多様性を示すことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間では、主に以下の事項について、依存性薬物の急性効果と慢性効果をそれぞれ検討していく。 ・オリゴデンドロサイトの電気生理学的性質および形態学的性質の変化の検討 ・活動電位の軸索伝導に対する効果の検討 ・活動電位同調作用の変化の検討 急性効果の検討については、研究計画で挙げているすべての薬物(コカイン、メタンフェタミン、ニコチン)において、全項目でデータ取得を終えている。3つの薬物で共通している変化、薬物ごとに異なる修飾効果を項目ごとに見出しており、意義の高い結果を得ることができている。これらの結果は、依存性薬物の作用の多様性を具体的に示すものであり、研究目的の達成に直結する内容である。また、慢性効果の検討についてもデータ取得・解析とも問題なく行えている。延長期間で例数を重ねることにより、得られた結果を確固たるものにする。以上のことから、研究進捗状況としては、順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
急性効果の検討では、すべての項目についてデータ取得ができており、急性投与の実験そのものは2019年度までで終了である。延長期間となる2020年度では、データ解析で未施行のものがあるので、それを行うとともに論文執筆を行う。慢性投与による効果の検討では、ニコチンとメタンフェタミンでの例数を増やし、2019年度までに得た結果の再現性を確認する。さらにコカインの慢性投与を行い、オリゴデンドロサイトでの変化・活動電位の軸索伝導に対する効果を検討する。その上で、3つの依存性薬物を用いた慢性実験の結果を比較し、その相違点・共通点を中心にした内容で論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性投与実験の例数を増やして研究成果をより堅固なものにするために、研究期間を延長してもらった。その実験遂行のため、2020年度の使用額として計上した。 また、現在執筆中の論文について、投稿料・掲載料として使用するため、翌年度使用額として計上することになった。
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