研究課題
基盤研究(C)
依存性のある薬物の脳白質機能に対する影響を,オリゴデンドロサイトおよび軸索伝導での変化に着目して検討した。メタンフェタミン・コカイン・ニコチンを投与してその効果を調べたところ,これらの薬物で共通する変化としない変化が存在し,さらに,同じ薬物でも急性投与と慢性投与で反対の効果を示すことなどを見出した。有髄線維における軸索伝導の変化を機能的に検討したことにより,依存性薬物が神経系にもたらすこれまで知られてこなかった作用とその多様性を見つけることができた。
神経生理学
依存性のある薬物の乱用や心身にもたらす不利益については,現代においても理解が十分であるとは言えず,多くの未解決の問題を包含している。今回の研究では,複数の薬物の効果を検討し,脳白質機能に対する薬物作用の新しい側面を見出すことができた。これにより,依存性薬物の神経系に対する影響の理解が進むと考えられることから,本研究成果は今後の依存性薬物問題に関する対応の一助となる可能性がある。