• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

多国籍企業の石油開発がケニア地元民に与える不利益に関する研究:土地収奪と地域紛争

研究課題

研究課題/領域番号 16K01978
研究機関京都大学

研究代表者

太田 至  京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (60191938)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードケニア / トゥルカナ / 石油開発 / 鉱物資源 / 土地収奪 / 環境破壊 / アフリカ / 地元社会への影響
研究実績の概要

アフリカにおける欧米や中国などによる鉱物資源の開発は、土地収奪や環境破壊、地域紛争など、多くの問題をひきおこしてきた。ケニア北西部のトゥルカナ地域では、2012年に石油が発見され、多国籍企業による探査・開発が進行している。本研究の目的は、この事業が地元社会に対してどのような影響をおよぼしているのかを解明することである。
地元民は、開発企業であるターロウ(Tullow)に対して両義的な感情をもち、その活動を支持すると同時に、様々な妨害行動をとっている。ターロウは、井戸掘りと水の供給、学校や病院の建設、奨学金の提供などの便宜を地元に供与し、また、地元企業は、多くの仕事をターロウから請け負い、地元民は現金稼得の機会を得ている。しかし地元民は、ターロウは事業内容を自分たちに十分に説明せず、雇用機会を提供していないし、また、環境を破壊・汚染していると考えている。さらに、この事業により立ち退きを強制された人びとが存在し、将来、さらに自分たちの土地が奪われることを懸念している。
ターロウは2018年6月に、原油をインド洋岸までトラック輸送し、国際的なマーケットに売却する準備を開始した。しかし地元民は、ターロウと中央政府に対する鬱積した不満を表明して、道路を封鎖してトラックの通行を阻止し、原油輸送は2カ月弱にわたって中断した。ケニアでは、原油生産から得られる利益配分をめぐる議論が数年間続いてきたが、最終的には、75%は中央政府、20%は地方政府、5%は地域共同体に配分されることになった。しかし地元民がこの配分をいつ受けられるのかは不明であり、その実現には多くの困難が予想されている。
本研究によって、石油開発企業と中央政府、地方政府、地元社会のあいだに、事業に関する相互理解が形成されないまま石油開発が進められたため、多くの問題が発生し、地元社会が不利益をこうむっている実態が明らかになった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件)

  • [学会発表] History and Present Situation of African Studies in Japan: Uniqueness and Challenges2018

    • 著者名/発表者名
      Itaru Ohta
    • 学会等名
      IAS-HUFS, IAS - University of Bayreuth Joint Conference, "The Different and the Similar: African in an Ever-changing, Multi-faceted and Multi-layered World"
    • 招待講演
  • [学会発表] Potentials of Local Effort for the Conflict Prevention and Resolution in Turkana County, Kenya2018

    • 著者名/発表者名
      Itaru Ohta
    • 学会等名
      ECoRAd2 Training Program in Kyoto
    • 招待講演
  • [図書] 遊牧の思想―人類学がみる激動のアフリカ―2019

    • 著者名/発表者名
      太田至、曽我亨(編)
    • 総ページ数
      xi+376+x
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812218242
  • [図書] 「交歓と相互承認を創出する」『遊牧の思想―人類学がみる激動のアフリカ―』2019

    • 著者名/発表者名
      太田至
    • 総ページ数
      pp. 55-90
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812218242
  • [図書] 「遊牧の思想とは何か―困難な時代を生き抜くために―」『遊牧の思想―人類学がみる激動のアフリカ―』2019

    • 著者名/発表者名
      曽我亨・太田至
    • 総ページ数
      pp. 1-14
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812218242

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi