研究代表者の佐藤は、今年度夏にドイツのハノーファーとベルリンにおいて、ドイツにおける放射線防護に関して関係者にインタビューを実施し、資料を収集した。研究分担者の木戸は、ドイツのボーフム大学において1年間滞在し、研究・教育を行った。両者は、夏にドイツのドルトムントで行われた放射線防護に関する集会に参加し情報収集を行うとともに、研究に関して意見交換を行った。 今年度の成果として、とりわけ、これまでの研究成果の一部を、査読付きの国際ジャーナルに英語で論考を掲載したことが挙げられる。これは2017年に刊行された『核開発時代の遺産──未来責任を問う──』(昭和堂、2017年)において佐藤と木戸がそれぞれ一部を執筆した後で、当該ジャーナルの関係者から依頼を受けてのことである。2019年秋には平和学会において、ドイツにおける放射性廃棄物最終処分場問題の中でも特に「取り出し可能性」論議についてコメンテーターとして招待され、本研究により得られた知見を提供した。そのほか、それぞれが論稿や学会・研究会において成果を披露し、社会に貢献した。 本研究による成果は、さらに、2020年12月開催予定の第70回西洋史学会において小シンポジウム「核時代史の可視化を目指して――放射性物質の政治文化史」を開催し、木戸は趣旨説明を行い、佐藤は他の原子力関連の研究者とともに登壇し、研究報告を行う見込みである。加えて、2021年春刊行予定の図書を構成する一部として発表される見込みである。
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