研究課題/領域番号 |
16K01986
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
石丸 香苗 福井県立大学, 学術教養センター, 准教授 (00572471)
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研究分担者 |
奥田 若菜 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (10547904)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 大都市ー地方都市―都市近郊域 / 自家作物 / 食糧の安全保障 / 社会的上昇 / ブラジル |
研究実績の概要 |
研究分担者奥田は、2018年8月に2週間の現地調査を実施した。調査地は、2003年から継続的に調査を行っているブラジリア連邦区行政地区(衛星都市)セイランジャCeilandiaと、サンパウロ市貧困地区である。 セイランジャは1972年に首都近くに形成された不法占拠地を撤去するために作られた行政地区で、現在は経済的に発展を遂げているものの、ブラジリア連邦区内では「貧困者の荒れた町」として知られている。今回の調査では、教会の貧者支援活動に関する聞き取りを主に行った。実際に教会のメンバーとして困窮家庭を訪問している人々や、教会へ資金を寄付している人々に会い、支援が必要な人々と、そうでないにもかかわらず支援を求める人々をどのように選別して食料の配布などを行っているかの具体例を調査した。並行して、セイランジャは北東部(貧困地区)出身者が多いため、北東部で困窮した場合の食糧ネットワークに関しても聞き取りを行った。 サンパウロでは、都市内部での作物の自給を目指すNGO団体シダージ・セン・フォミCidade Sem Fomeの活動を調査し、メンバーへインタビューを実施した。シダージ・セン・フォミはサンパウロの貧困地区を拠点に、送電鉄塔のある空き地を無償で電力会社から借り受けたり、放置されている土地などを農地にする活動を行っている。それにより、雇用の創出やコミュニティー内での自給、放置された土地を手入れすることによる治安悪化の防止などを実現している。 これまでの結果から、農村部では自給作物の消費による支出削減とコミュニティ内外での農作物の交換が、都市では教会やNGO等による社会的支援が貧困層の食糧の安全保障に大きく関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が2018年度に異動をして新規の授業開発および学内業務に多忙であったため、2018年度の調査ができなかった。また、共同研究者も研究期間内に一年間育児のため研究を行うことが困難であった。そのため、研究参画者がそれぞれ予定よりも一年間進行が遅れた状態である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は都市‐農村間の人口移動の統計資料の解析を中心として行うとともに、各人がこれまで採収したデータの分析を行う。また、夏季に農村部から都市に異動した労働者の食糧調査を研究参画者らが共同で行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の異動により2018年度は代表者が研究を行うことが困難であったため、最終年度の調査予定を一年間延ばし、補助事業延長をすることにししため、次年度使用額が生じた。 2019年度は、参画者がともに調査を行い、農村から都市へ移動した世帯へのインタビューから都市‐農村間の移動と食料の安全保障について調べる。研究費はこの調査への海外渡航費用に支出予定である。
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