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2017 年度 実施状況報告書

1950年代アメリカ海軍のグアム島における風下被ばく調査に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K01987
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

西 佳代  国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 外来研究員 (90416058)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード低線量被ばく / 水質浄化
研究実績の概要

前年度では、1946年にマーシャル諸島で行った核実験「クロスロード作戦」をつうじ、海軍が核爆発による放射性降下物が自然環境を経由して人体に甚大な影響を及ぼす「風下被ばく」の実態に驚愕したことを明らかにした。ところで、この結果を受け、海軍は連邦政府における放射能防衛研究を推進する中心的機関として「放射能安全プログラム」を発足させた。そして1950年からは、核戦争に備えて放射能汚染水の浄化装置の開発に向けた研究を開始していた。これらに鑑みれば、太平洋における核実験のさなか、海軍は風下被ばくの可能性を認識しつつも、1951年にグアム島に貯水池であるフェナ湖を完成させたということになり、実際、内務省のアメリカ地質調査所も同年から島の水質調査を開始しているのである。なおアメリカ政府は1950年8月に島の管轄権を国防総省から内務省へ移管したものの、早くもその三ケ月後に海軍は「セキュリティ・クリアランス・プログラム」を実施して島への民間人の出入りを事実上禁止した。こうした状況は、この水質調査が極秘のうちに行われたことを示唆している。
本年度は、1950年代のアメリカ政府によるグアム島における風下被ばく調査の実態の解明に向けて、軍が実施した地質学研究に関する資料の収集に努めた。ただアメリカ地質調査所の報告書は入手できなかったため、アメリカ政府が1940年代後半からおよそ10年間かけてアメリカの施政下あった国連信託統治領で実施した「太平洋地質図作成プログラム」に注目した。
その結果、フェナ湖建設計画を立案した中心的地理学者の存在などは明らかになったものの、本土における浄化装置の開発プロジェクトとの関係を示す史・資料を明らかにすることはできていない。この点が来年度の調査の焦点であり、引き続きアメリカ地質調査所の報告書の入手に努めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

グアム島におけるフェナ湖の建設と、海軍の放射能防御研究との関連を明らかにできていない。具体的には、内務省のアメリカ地質調査所による水質検査の内容にかんする資料が入手できていない。

今後の研究の推進方策

カリフォルニア州に所在するサン・ブルーノ米国国立公文書館を訪れ、1950年から1962年にかけての海軍統治下の資料を閲覧する。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度はアメリカ本土で資料収集を実施できなかったため、平成30年度、当該旅費に充当する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Turning Risks into Opportunities: Question of Internal Radiation for Fish Farming2017

    • 著者名/発表者名
      Kayo Nishi
    • 学会等名
      Association for East Asian Environmental History
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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