本研究では、1990年代以降の全米規模の交通システムの高度化の時代における連邦道路補助金を検討対象として、政府間財政関係における分権メカニズムと、州・地方政府の主体的な政策運用を明らかにした。第1に、連邦レベルの法制度の設計や立法のプロセスでは、州・地方の先進的な取り組み(州の実験室)の成果を前提とし、州・地方の裁量性も重要な仕組みであった。第2に、先行的な交通政策に関するカリフォルニア州とバージニア州の事例研究からは、地域から積み上げるボトムアップ型の合意形成と計画策定をベースとして、州政府が多様な財源調達の努力と成果評価を実施し、それらを支援する役割を連邦補助金が担う構造を明らかにした。
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