研究課題/領域番号 |
16K01999
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大和田 俊之 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (20365539)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナロパ大学 / YMO / アフロ・アジア |
研究実績の概要 |
二年目は、まず6月にアメリカ学会の第51回年次大会(早稲田大学)で「ヒップホップとアフロ=アジア」という部会の責任者を務め、日米のヒップホップのジャンルにおいていかにそれぞれの文化や宗教が表象されているかについて論じた。さらに同じ月にはドイツのカッセルで開催された第19回国際ポピュラー音楽学会において、“Yellow Magic Orchestra and Afro-Japanese Futurism” という題目の口頭発表を行い、YMOというグループが1970年代に海外で受容される際にいかに仏教的なイメージを伴っていたかについて論じた。 また、当初三年目に訪れる予定だったコロラド州ボルダーで第62回アメリカ民族音楽学会が10月に開催されたので、そこで日米音楽のパネルに参加、日米のポピュラー音楽における未来思想に焦点を当てた "Afro-Asian Futurism: YMO and Game Music”という口頭発表をするとともに、ハリー・スミスが晩年を過ごしたナロパ大学の調査を行なった。1974年にチベット仏教の指導者によって設立された高等教育機関では、資料収集を行うと同時にチャールズ・リーフ学長にもインタビューを行い、開校に至る歴史的背景や、アレン・ギンズバーグやジョン・ケージなどがプログラム作成に関わった経緯について伺った。 また5月より筑摩書房のウェブサイト「webちくま」により、毎回1万字程度の日米音楽論の連載を開始し、「ブルーノ・マーズとポストコロニアル・ノスタルジア」(6月9日)、や「ヒップホップにおけるアフロ=アジア」(7月28日)など、アメリカの音楽文化における日本や仏教思想の影響について分析した論考を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度にハリー・スミスに関する論考を国際学会で発表し、二年目にコロラド州ボルダーにてナロパ大学で資料収集、学長へのインタビューを行うなど、当初は研究期間の後半に行う予定だった項目を終え、あとはニューヨークのAmerican Buddhist Study Centerや Zen Studies Center, さらにはAnthology Film Archivesなどで調査を行うのみとなった。ニューヨークでの調査がやや遅れていると言えるが、三年目にニューヨークでの調査をまとめて行うことでかえって研究を効率的に進めることが可能になった。フルクサス関係の資料を要するニューヨーク近代美術館やコロンビア大学などの担当者とも連絡を取りながら、しっかりと現地調査に臨みたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年の夏はニューヨークでの調査を行う。American Buddhist Study CenterやZen Studies Center、それにAnthology Film Archivesやニューヨーク近代美術館で資料収集を行い、フルクサスやハリー・スミス関連の調査を行う。まだ正式に日程は決まっていないものの、秋にコロンビア大学での講演も計画に上がっており、日米のポピュラー音楽における文化表象について話す予定である。コロンビア大学のケヴィン・フェレス教授とは日本、中国、韓国などとの研究者との交流を目的としたワークショップや学会も計画しており、仏教思想や日本文化の環太平洋的な影響関係についてより広い視野で分析・検討する予定である。
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備考 |
筑摩書房のウェブサイト、webちくまに「アメリカ音楽の新しい地図──トランプ後の文化=政治」として連載中の記事。毎回1万字程度、連載終了時に書籍化の予定。
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