研究課題/領域番号 |
16K02007
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
岡本 郁子 東洋大学, 国際学部, 教授 (00450487)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | マイクロファイナンス / ミャンマー |
研究実績の概要 |
H28年度は、9月にミャンマーのマイクロファイナンス業界の現状把握を目的とする調査をネーピードー、ヤンゴン、タンリンにて実施した。ネーピードーでは、マイクロファイナンス機関を所轄するFinancial Regulatory Departmentで、2016年のマイクロファイナンス法改正の具体的な内容、また登録済みのマイクロファインナンス機関のリストを入手した。ヤンゴンではいくつかのマイクロファイナンス機関とマイクロファイナンス協会に対するヒヤリングを実施し、タンリンではそのうちの一つの機関の活動を視察しインタビューを行った。 調査の主なファインディングは以下の通りである。ミャンマーでは、古いグラミン型(グループ融資)のマイクロファイナンスが未だ主流である。これは、ミャンマーで最初に活動を始めた国際NGOのPACTがグラミン型モデルを採用したこと、そのスタッフが現在急増しているMFIに雇用され、事業を任されるケースが多いことに起因しているとみられる。そうした状況に対し、都市部では資金需要が短期かつより大きい額であることもあり、旧来型のグループ融資は必ずしも魅力的でないものとなっている。マイクロファイナンス機関は、政府の規制により農村部と都市部で半々展開することが求められていたため、アクセスのよい地域での操業に集中する傾向がある。バゴー・タウンシップはその典型であり、17のマイクロファイナンス機関が同地域で展開している。その結果、そうした集中する地域では機関間での競争が発生しており、たとえば、グループ融資でもグループミーティングの頻度が少ない機関,もしくは個人融資を提供する機関に顧客が流れつつあるようである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はミャンマーのマイクロファイナンス業界全体の概況を把握することを主な目的としていた。行政、業界団体、各種マイクロファイナンス機関、顧客への聞き取りを実施でき、かつ基本的な資料を入手できたことことからおおむね順調に進展していると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
H29年度以降は、公的機関主導型、ソーシャルビジネス型のマイクロファイナンス機関への聞き取りを継続するとともに、対象地域を絞って受益者に対するインタビューを開始する。H28年度の調査結果を踏まえ、マイクロファイナンス機関の地理的集中、競合の問題に焦点を当てて研究を進めることで新たな知見が得られると考えられる。 当初の計画では、 受益者調査はエーヤーワディ-地域、マグエ地域、バゴー地域で実施することを予定していたが、マイクロファイナンス機関間の競合の観点からはエーヤーワディー、マグエ地域の農村部ではそれほど顕著ではないことから、バゴーを重点対象地域として調査を進める予定である。その上で、それとの比較の観点から必要に応じてエーヤーワディー、マグエ地域での調査を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
H28年度に調査に必要な高スペックなパソコンを購入したこと、現地調査において空路での移動が加わったこと、また消耗品(インクトナー)を購入する予定だったため、予算の前倒し支払いを請求した。結果的に、消耗品を購入せずに済んだため、その分が次年度使用額として残った。
|
次年度使用額の使用計画 |
H29年度に消耗品を購入する予定である。
|