マイクロファイナンス機関間の競合の実態の把握を目的とする本研究では、マイクロファイナンス機関が多く展開しているバゴー地域を対象に、顧客への個別聞き取り調査を行ってきた。これまでは、主にバゴー市内の非農業従事世帯を対象の聞き取りであったことから、最終年度は世帯の属性による借入れ行動の違いを把握するために、バゴー郡の農村部(Daik-Oo)の農家世帯を調査対象とした。最終的な調査世帯数は43世帯であり、質問項目はこれまで同様、家族構成、所得源、借入の実態、マイクロファイナンス融資の使途である。 また、平地部での金融の展開と比較するために、シャン州山間部農村にて農村金融の現状に関する聞き取り行った。 Daik-Ooでの世帯調査では、労働力節約型の営農がさらに拡大していることが確認できるとともに、海外出稼ぎを含む非農業就業機会の増加によって、定期的な現金収入があることが農家のマイクロファイナンス融資の返済を容易にしていることが判明した。 一方、シャン州山間部の農村では、地理的条件としてはそれほど街から離れていないにもかかあらず、極端とも行っていいほど非農業就業機会が限定されており、きわめて生存維持的な生計活動にとどまっていることもあり、インフォーマルな借入れそのものの頻度が少なかった。こうした地域では、マイクロファイナンスの展開はまだ時期尚早と考えられる。
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