研究課題/領域番号 |
16K02008
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
臼杵 陽 日本女子大学, 文学部, 教授 (40203525)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 西アジア / 中央アジア / 日本 / 少数派 / バハーイー教 / 万教帰一 |
研究実績の概要 |
本研究の2年度の研究計画は、第4の問題系(日本との関係)および第5の問題系(日本人信徒の伝記的情報収集)に重点が置かれた。
第4の問題系である「日本との関係」に関連しては、成瀬仁蔵とバハーイー教との関係について、日本女子大学桜楓会の成瀬仁蔵研究会において報告し、その内容を『桜楓新報』において「成瀬とバハーイー教」および「成瀬とプラグマティズム」と題して二回にわたって連載した。また、ハワイ生まれのアメリカ人バハーイー教徒で1914年に来日し、1967年に日本を離れるまで、通算31年間を日本で過ごし、長らく日本支部長を務めたアグネス・アレキサンダーと成瀬仁蔵との交流について日本女子大学成瀬記念館において資料収集を行い、成瀬のバハーイー教への関心の端緒である帰一協会との関連性についても具体的に調査を行った。
また、第5の問題系である「日本人信徒の伝記的情報収集」に関しては、日本人バハーイー教徒である藤田左弌郎について調査を行ったが、文献資料を具体的に発見できず、今後とも調査を続ける必要があり、課題として残った。日本人でバハーイー教徒に改宗した者にはハワイへの移民者が比較的多く、日系移民とバハーイー教との関係についてより一層調査を進めていく必要があるという新たな課題も発見することができた。以上とは別に、中東におけるマイノリティの問題系としてジェラード・ラッセル著、臼井美子訳『失われた宗教を生きる人々―中東の秘境を求めて』(亜紀書房、2017年刊行)の書評を2017年3月5日付東京新聞に発表した。とりわけ本書の中で注目に値するのがイスラム国(IS)によって虐殺されたイラク北部のヤズィード教徒の歴史的な記述であり、本研究を今後推進していく上で極めて有益な情報であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題との関連で海外出張を行ない、2018年3月22日にイタリアのウルビーノ大学において開催されたワークショップThe Mediterranean as a Plazaに参加し、The First Japanese Catholic that made a Pilgrimage to Jerusalem: A Case of Petro Kibe (1587-1639) と題して報告を行い、本研究における研究課題である「④日本との関係」においてキリスト教日本人信徒と密接にかかわる新たな研究を展開できたと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度同様に、特に日本のバハーイー教関係者にインタビューを行いつつ、最終年度の調査・研究課題である総括を行なう。とりわけ、日本におけるバハーイー教の受容の歴史について、混乱する現在の中東情勢におけるマイノリティの位置づけと関連づけて研究をまとめたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だった資料の刊行予定が遅れたため。来年度の資料購入に充てる予定。
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