研究課題/領域番号 |
16K02013
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
後藤 雄介 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60296374)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 先住民 / 混血 / 思想史 / 社会運動 / アンデス / ペルー / ボリビア / エクアドル |
研究実績の概要 |
アンデス諸国における現代先住民運動を思想史的に位置づける本研究の目的にしたがい、研究初年度である2016年度には、当初の計画どおり、2016年7月5~8日にペルー・リマ市に開催された「第1回ラテンアメリカ文学理論・批評・歴史国際会議」に出席し、「《すべての血》への回帰/《狐たち》を21世紀へ解き放つために──ホセ・マリア・アルゲーダスの後期2作品を再読する」のタイトルで報告をおこなった。 同報告は、申請者がかねてより研究しているペルーの国民的作家ホセ・マリア・アルゲーダス(1911-1969)の後期2作品を取り上げ、ペルー先住民の文化的復権を唱えてきた作家の思想が経済・社会のグローバル化が進行する現代世界において引き続き有効であるためにはどのような再解釈が必要であるかを提示するものであった。申請者にとってははじめての国際会議での研究報告であったが、幸いフロアからは貴重な示唆・助言を受けることができた。 上記国際会議の閉幕にあたり、今回の諸報告に基づいた書籍の刊行がアナウンスされ、ついては報告を活字化しての投稿が呼びかけられたため、当初計画では所属先大学の紀要に論文を執筆する予定であったが、変更してこちらへスペイン語原稿を投稿することとして2016年11月末締切までにそれを果たし、審査委員会より2017年1月4日付で投稿受理の通知を受け取ることができた。同書籍は2017年中に刊行の予定である。 上記とは別に、研究目的遂行のために収集したペルー以外のアンデス諸国の先住民運動関連の文献を読み込む作業を並行しておこなっており、ボリビア・エクアドルでの訪問機関・インタビュー対象者の選定、および研究報告機会を模索するなど、研究2年目の2017年度に予定している海外調査の準備も鋭意進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」で示したように、当初の研究計画に則せば、国際会議での報告は予定どおりであるが、国内での成果発表は海外で刊行予定の書籍への投稿に切り替えることになった。後者の変更に関して言えば、研究成果の発表はできるものなら同年度内が望ましく、海外投稿によって成果の確定は2017年に持ち越されてしまったが、成果を海外で外国語で発信することには、多少の遅滞を上回るだけの価値があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目の2017年度は、当初計画で予定しているとおり、ペルーに加えて、ボリビアおよび(または)エクアドルでの海外調査を予定している。 ペルーでの調査は、2011年に所属先大学より与えられた特別研究期間時に客員研究員として所属していたリマ市のペルー問題研究所(IEP)を拠点とし、IEPの図書室および1990-91年に特別研究生として在籍していたペルー・カトリック大学付属図書館での資料収集を中心とする。 ボリビア・エクアドルでの調査については、上記「研究実績の概要」で述べたように自主的にも訪問先を鋭意検討中であるが、両国の社会運動研究を専門とするIEPの研究員のアドバイスも適宜仰ぎつつ、調査出発までにより具体化していく。 なお、2017年度については、他の研究プロジェクトの関係上、調査出発時期を2018年3月とせざるをえない。そのことにより、ボリビア・エクアドルの2国にも足を伸ばすに十分な時間が確保できないと判断した場合には、どちらの国を優先するかの判断を急ぎつつ、今回は残念ながら調査が叶わなかった国については、研究3年目(最終年)に必ず含めることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額であり、特に理由の記載の必要を感じない。
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次年度使用額の使用計画 |
少額であり、特に計画の記載の必要を感じない。
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