研究実績の概要 |
アンデス諸国のインディヘニスモ(indigenismo=先住民擁護復権運動)を思想史的に比較検討する本研究は3年計画であったが、研究計画1年目の2016年度にはペルー・リマ市で開催されたCELACP(アントニオ・コルネホ=ポラル文学研究センター)主催の国際シンポジウム「第1回ラテンアメリカ文学理論・批評・歴史国際会議」(2016年7月6-8日)に出席し、ペルーのインディヘニスモの代表的論客にして国民的作家であるホセ・マリーア・アルゲーダス(Jose Maria Arguedas[本来スペイン語に必要なアクセント記号は文字化けするため省略。以下他箇所でも同様], 1911-1969年)の作品の21世紀的受容のあり方に関する報告をおこない、その成果をもとに活字化した投稿も受理され、少々時間を要したが、翌々年の2018年8月に論文集の一部として刊行された。 研究計画2年目の2017年度には、ペルーに加えてエクアドルへもほぼ四半世紀ぶりに訪れて研究調査をおこない、とりわけエクアドル・キト市のFLACSO(ラテンアメリカ社会科学大学)の図書館等で資料収集するなかで、ペルーとエクアドルのインディヘニスモを結びつける興味深い文学作品を発見し、その作品を中心とした分析を2019年3月に所属大学の紀要に成果として発表することができた。 研究計画最終3年目の2018年度には、フライトの関係上ペルー渡航前に経由したメキシコ・メキシコ市での資料収集も付随的にすることができ、それはそれで有意義であった。ただし、最終年度には当初ボリビアへも調査に行く予定だったが、時間的制約から残念ながら叶わなかった。なお、この最終年度にかかわる研究成果の発表は今後の予定である。 以上のように、ボリビア調査が課題として残されているが、アンデス諸国のインディヘニスモの思想史的位置づけは国毎に比重が異なっていることが資料的に確認できてきており、今後さらに比較研究を進めていきたい。
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