研究課題/領域番号 |
16K02014
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
福島 淑彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80367680)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スウェーデン / 社会の透明性 / 腐敗・汚職 / レント |
研究実績の概要 |
本年度は (1)社会の透明性に関する指数と先行研究に関わる資料・文献調査、(2) スウェーデンの公共部門の腐敗・汚職に関する資料・文献調査と実態調査、を行う計画であった。 (1)については、はじめに、社会の透明性、腐敗・汚職に関する指数を精査・整理した。具体的には、Transparency Internationalの「腐敗認知指数」(CPI)、世界銀行のWorldwide Governance Indicators (WGI)、World Economic Forum(WEF) が発表している「Global Competitiveness Report」の中のCorruption Index、Heritage Foundationが発表している「Index of Economic Freedom」の中のFreedom from Corruption、などの指数の精査・整理を行った。次に、「腐敗・汚職行為とレント」に関する先行研究、及び「腐敗・汚職行為を引き起こすインセンティブ」に関する先行研究について、先進国(OECD諸国)に関する先行研究を中心に整理を行った。 (2)については、スウェーデンの公務員による腐敗・汚職に関する現状について、政府報告書及び専門家による調査報告書による資料・文献調査を行った。。加えて、Stockholm市内のKommun (日本の市区町村に当たる地方自治体)に対して、インタビュー調査を行い、地方公共部門での腐敗・汚職の現状とそれを防ぐ仕組みについて調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り概ね順調に研究が進んでいる。
但し、平成28年度に計画していたスウェーデンで行政機関の評価や分析を行っているStatskontoret (Myndigheten for en effective stats forvaltning、パブリック・マネジメント庁)に対するインタビュー調査が先方の都合により実現しなかったこと、Stockholm以外の地方自治体に対するインタビュー調査が時間的な制約のために実願しなかった点、が当初の計画を100%達成できなかった点である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究は、平成28年度の研究を踏まえて、腐敗・汚職行為と公共部門の大きさ、汚職行為を抑制する制度について分析可能な理論モデルを構築することを目指す。具体的には、(1)スウェーデン人の道徳観に関する資料・文献調査、(2)公共部門の大きさと腐敗・汚職行為に関する理論研究、を行う予定である。 (1)についてはWorld Value Surveyの「世界価値調査」の結果を精査し、他のOECD諸国と比較してスウェーデン人の道徳観、価値観の特徴・特質を明らかにしたい。スウェーデン、日本、米国ついては調査が開始された1980年からデータが存在しているので、3ヶ国の比較を通してスウェーデン人の特質を明らかにしたい。 (2)については、スウェーデン社会の透明性の特質、スウェーデン人の道徳観・価値観、先行研究から判明した先進国における汚職行為のインセンティブに影響を及ぼす要因を踏まえ、公共部門の大きさと腐敗・汚職行為の関係が分析可能な理論モデルを構築する。構築した理論モデルから、腐敗・汚職行為を防ぎ、社会的厚生損失を最小にするような公共部門で働く職位別の労働者数と賃金水準を導き出すことを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していたStockholm市以外のスウェーデン国内の地方自治体へのヒアリング調査が行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度は、今後の研究の推進方策のところでも記した(1).スウェーデン人の道徳観に関する資料・文献調査、(2)公共部門の大きさと腐敗・汚職行為に関する理論研究、に加えて、28年度に行うことができなかったStockholm市以外のスウェーデン国内の地方自治体へのヒアリング調査を行う予定である。
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