研究課題/領域番号 |
16K02019
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
板垣 竜太 同志社大学, 社会学部, 教授 (60361549)
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研究分担者 |
高 榮珍 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (90329954)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 北朝鮮 / 言語学 / 言語政策 / 政治文化史 |
研究実績の概要 |
本研究は、体制形成期の北朝鮮における言語規範化をめぐる政治文化史的な研究であり、言語規範化のより総合的な研究(事業A)と金壽卿という研究者を中心とした事例研究(事業B)によって構成される。 事業Aについては、長年の研究蓄積をまとめあげ、公表する作業が進行した。2018年度には、総合的な研究(韓国等における招待講演)と個別的な研究(初期言語理論および言語浄化に関する原稿執筆)をおこなった。こうした研究により、1945年以降の北朝鮮の識字運動、漢字撤廃、正書法改革、言語浄化が一続きのものであり、したがって総体的に見る必要があるということが明確になった。 事業Bについては、単行本(単著)の草稿を出版のために整理しなおす作業を完了した(約900枚を約750枚に圧縮するなど、大幅にまとめなおした)。それに並行してサンクトペテルブルクとモスクワでの調査を進めたほか、韓国(韓国文化人類学会、西江大など)やドイツ(テュービンゲン大)などで研究成果をおこなった。それとともに、個人を中心に据えた歴史叙述の可能性について、日本語・コリア語・ドイツ語で研究論文を刊行した。単行本は未刊行ではあるが、これらにより金壽卿という一人の言語学者を中核に据えた「全体史」を描き出すことができた。 また、共同の事業として、学術論文集の韓国での刊行準備を進めた。『労働新聞』の欠落分の収集を進め、これまで海外から集めた1946年から1969年までの号の電子化作業を完了した。クラウドを利用して、コリア研究センターのコンツェーヴィチ文庫の電子化資料の整理を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事業Aについては、講演原稿や草稿の執筆を相当進めたが、年度内の公刊にまではいたらなかった。 事業Bについては、単行本(単著)の草稿が完了し、年度内の出版を目指していたが、担当編集者の異動などの想定外の事態が生じたため、編集作業に大幅な遅れが生じた。 学術論文集を韓国で刊行する作業を進めていたが、韓国の編集サイドからのリクエストへの対応に手間取り、刊行にはいたらなかった。 以上の単行本(単著)および学術論文集の刊行に合わせて公開学術シンポジウムの開催を企画していた関係で、年度内開催にも遅れが生じることになった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、事業Bの単行本(単著)の年内刊行を進める。韓国での学術論文集の刊行も年度内刊行を目標に作業を進める。 以上の出版事業に合わせて、公開学術シンポジウムを同志社大学において開催する。 また、電子化作業の終わった資料について、著作権問題などをクリアしたものについては公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査は基本的に終了し、データ整理もほぼ終わっているが、成果公表が想定していた以上に時間を要した。単著出版の草稿がまとまったが、出版にいたるまでの作業が複雑で時間を要した。出版企画の遅延にともない、出版をきっかけに実施することを想定していた公開学術シンポジウムの開催も年度内に企画できず、次年度に持ち越すことになった。 2019年度には、(1)この出版事業を進めるための事業、(2)整理した電子データを一部でも公開するための事業、そして(3)最終的な成果を社会に発信するための公開学術シンポジウムを同志社大学において開催するための事業、をそれぞれ実施する。
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