研究課題/領域番号 |
16K02021
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
坂下 史子 立命館大学, 文学部, 准教授 (10594129)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アメリカ黒人 / 人種暴力 / 記憶 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、後述のとおりアメリカへの調査出張を行うことができなかったため、これまで収集したエメット・ティル事件をめぐる記憶継承の問題に関する資料などをまとめ、ここまでの時点で明らかになった研究成果の一部を発信することに尽力した。6月にはアメリカ学会年次大会(早稲田大学)と黒人研究学会年次大会(立命館大学)で、それぞれ英語による発表を行った。また、年度末に出版された論文集『ヴァナキュラー文化と現代社会』(ウェルズ恵子編、思文閣出版)に論文「人種暴力の記憶化と写真-『沈黙の行進』から『黒人の命も大切』運動へ」が掲載された。なお、学術的な分野とは言えないものの、一般向けの講演会や新聞記事などの中でも、アメリカ黒人の歴史や人種暴力など本研究課題を一部反映した発表を行った。例えば、同志社大学での人権研修会「人種ステレオタイプの弊害-アメリカを例に」(9月)、朝日小学生新聞でのインタビュー「黒人差別、米国の悲しい歴史」(10月3日付)、米国ワシントン州タコマ市のピュージェット・サウンド大学での講演 "WHen and Where I Entered"(3月)である。 さらに、これまで収集した関連文献を読み進める中で、メンフィス大学およびフロリダ州立大学の図書館にティル事件に関する一次史料が所蔵されていることが分かった。このため、平成30年度には同地への資料収集調査も計画に盛り込みたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本務校で全学役職の一つを担うことになり、研究時間の確保が難しかった上に、夏休みと春休みに行いたいと考えていた調査出張をいずれも実現することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施することができなかった調査を優先的に行う。夏季休暇中に再度ミシシッピ州(ティル事件のローカルな記憶が白人主導で形成される場所)を訪れ、28年度の予備調査を補完することを目指す。昨年8月にティル事件を扱った映画 "Till The Movie"(仮題)の撮影が行われる予定であったが、今夏に延期されたとのことなので、ミシシッピへの調査出張は可能であれば撮影期間中に行いたい。さらには、できれば同行程の中に、ティル事件の一次史料が所蔵されているメンフィス大学およびフロリダ州立大学の図書館への史料調査出張も組み込みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本務校で全学役職の一つを担うことになり多忙を極めたため、夏休みと春休みに行いたいと考えていた2回の調査出張をいずれも実現することができなかったため。 (使用計画)昨年度実施することができなかった調査を優先的に行う。夏季休暇中に再度ミシシッピ州を訪れ、28年度の予備調査を補完することを目指す。できれば同行程の中に、ティル事件の一次史料が所蔵されているメンフィス大学およびフロリダ州立大学の図書館への史料調査出張も組み込みたい。さらに春季休暇中にワシントンDCへの調査出張も行う。
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