研究課題/領域番号 |
16K02022
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
川田 進 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10288756)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イスラーム紛争 / チベット問題 / 中国共産党 / 宗教政策 / 統一戦線活動 / ラルン五明仏学院 / 宗教事務条例 / ラルンガル |
研究実績の概要 |
イスラーム紛争に関して、以下の地域にてイスラームコミュニティ、礼拝参加者、女性信徒の生活、雲南系ムスリムの有無を調査した。(1)8月シェムリアップ(カンボジア)ニャックマーモスクにて、中国雲南系ムスリムの越境状況、(2)12月ハノイ(ベトナム)アルノーモスク、ホーチミン(ベトナム)アルラヒームモスクとチョロンモスクにて、社会主義国のイスラーム政策、(3)3月北京市(中国)の東四モスクでは、イスラームと「宗教の中国化」政策の実態を調査した。 チベット問題に関して、以下の地点で現地調査を行った。(1)8月中国四川省白玉県のヤチェン修行地にて、大規模宗教コミュニティにおける宗教ツーリズムの実態。(2)8月四川省甘孜県の朱徳総司令格達活仏記念館にて1940年チベット仏教高僧と中国共産党の協力関係。(3)8月四川省丹巴県の頂果山寺にて、1940年代頂果山寺と中国共産党の協力関係。(4)北京にてチベット仏教内部流通本の調査。今年度ラルン五明仏学院(色達県)での現地調査を予定していたが、外国人の立ち入りが禁止状態にあるため、調査の実施を断念した。 コロンビア大学(ニューヨーク)の研究者Yasmin Choとラルンガル及びヤチェン修行地に関する情報確認を実施した。 アウトリーチ活動への準備を2点行った。(1)チベット問題に関する市民講座の実施準備、2019年4月に開催予定。(2)チベット問題に関する一般書の執筆、2019年5月に刊行予定。 (2)については、ラルン五明仏学院を舞台とした中国共産党の統一戦線活動への宗教者の対応、日本おけるラルンガル関連記事の調査、チベット亡命政府から見たラルンガル、漢人信徒の動向、宗教政策への対応、2016年以降のラルンガル改造計画、2017年NHK放映番組 「天空の宗教都市」の記録等を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主にチベット問題に関する漢語資料の入手に成果があった。ケンポ・ソダジ、ケンポ・ツルティム・ロドゥの漢語版著作、ヤチェン修行地のアソン・リンポチェに関する図版資料を入手することができたため、次年度の研究活動に進展が期待できる。 『天空の聖域ラルンガル』の執筆を完了することができたことは大きな収穫である。 イスラーム紛争、チベット問題に関する海外現地調査の実施も順調であった。 アウトリーチ活動の準備も進み、来年度の実施へ向けて支障はない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究期間(4年間)の最終年にあたるため、研究成果の公表に力を注ぎたい。成果の柱はラルン五明仏学院(中国四川省)に関する単著の刊行である。同時に、中国共産党の宗教政策と漢人のチベット仏教信仰に関する共著の準備を行う予定である。 中国四川省甘孜州の政治動向が安定している時期に、ラルン五明仏学院での調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題で最も重点を置いた調査地点ラルン五明仏学院(中国四川省)が2016年夏以降、外国人立ち入り禁止状態にあり、当初予定していた調査が実施できなかったため。次年度は、ヤチェン修行地を調査の代替地とすることを考えている。
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