研究課題/領域番号 |
16K02023
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
五十嵐 徳子 天理大学, 国際学部, 教授 (80294156)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高齢者 / ロシア / ケア / 移民 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本年度は予定通り研究を遂行することができた。まず、継続調査を行っているペテルブルグ市のユダヤ人協会での調査を3月に実施した。コルトン所長に2015年1月から始まった新しい法律施行後の状況の変化について聞いた。また、昨年度に訪れた同センターが運営しているレーニングラード州にある高齢者施設の入居者状況についても詳細に聞き取り調査を行うことができた。3年にわたる継続調査の結果、特に昨年度からの1年間で状況は大きく変化していたことが明らかになった。その一例として、昨年は高齢者施設186床のうち48人が入居していたが、現在は全部埋まっていて順番待ちである。ペテルブルグ、モスクワでの高齢者への介護などの支援はかなり状況が改善しているが、それ以外のロシアの連邦構成主体では財源が少ないためにそれほど整備されていないということであった。しかしながら状況は改善していることについても明らかになった。 高齢者介護を含む家族のあり方についてNPO団体で女性支援を行なっている2団体の代表に聞き取り調査を行った。女性団体も様々であり、女性の家族での役割を強調する団体もあり、また少子化対策についても家族政策について話を聞いた。また、ロシア赤十字ペテルブルグ支部代表にペテルブルグでの難民、労働移民の状況、ロシアで移民女性が介護職に就くケースについて聞き取り調査を行った。また、家族の介護をしている家族への聞き取り調査も行なった。 これらの研究成果の発表を12月にモスクワの国際関係大学で開催された国際学会で発表した。また、研究の一部をイギリスで発行された共著、および北海道大学のスラブセンサーの報告書などで公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進展している。都市部以外の調査が不足しているが、本研究では都市部を主な対象地としているために問題はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度である。2015年の法改正以後の変化について情報収集のために現地調査を行う所存である。 そして最終的な研究成果を2018年9月にスェーデンの国際学会、同年10月14日の日本国内のロシア史研究会で口頭発表する予定である。また、全研究成果をまとめた著書の出版を12月に予定している。
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