1990年代以降、選挙を実施しながらも強権的な統治スタイルをとる政権が、世界各地で散見されるようになった。ベネズエラで20年以上政権を握るチャベス派政権(チャベス及び後継のマドゥロ政権)は、「競争的権威主義」と呼ばれるこのような体制の典型だ。 本研究は、ベネズエラの競争的権威主義政権の長期化を可能にした要因を分析することを目的とし、そのひとつとして選挙に注目した。選挙が中立性に欠き不公平であることを隠すのではなく、むしろ事前にアピールしながら実施することで、チャベス派は選挙ボイコットをめぐって反政府派勢力を分断し弱体化させるツールとして選挙を利用し、繰り返し成功してきたことが、示された。
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