研究課題/領域番号 |
16K02030
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鳥山 まどか 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (40459962)
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研究分担者 |
松本 伊智朗 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (20199863)
丸山 里美 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20584098)
田中 智子 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (60413415)
吉中 季子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (70434800)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 女性の貧困 / 世帯の中に隠れた貧困 / 世帯内資源配分 / 経済的虐待 / マネープロブレム / 子育て |
研究実績の概要 |
本研究ではこれまで、日本および英語圏の研究(特に実証研究)において「世帯の中に隠れた貧困」がどのような形で論じられてきたか、資料を収集し検討してきた。 最終年度である2018年度は、これまでに検討した各研究を次の4つの領域に分けて改めて整理・検討した。4つの領域は①世帯内資源配分に関する研究、②ドメスティックバイオレンス(DV)に関する研究、③マネープロブレム(借金・滞納)に関する研究、④子育てに関する研究である。結果は以下の通りである。 ①1980年代以降に英語圏でさかんになった研究の影響を受ける形で、日本でも世帯内資源配分に焦点をあてた調査が家計経済研究所を中心に行われた。しかし英語圏においても日本においても関心の焦点は主に世帯の中の夫と妻の不平等にあてられ、「世帯の中に隠れた貧困」を直接捉える研究は限定的である。②DVは複合的な暴力の形をとることが多いが、その1つに経済的な搾取や諸コントロールを通じて行われる「経済的虐待」がある。この経済的虐待について海外では調査研究が蓄積されつつあるが、日本では実践的にも関心は周辺的で、実態に関する研究もほとんど行われていない。③イギリスの研究の影響を受けながら、同時期に社会問題化しつつあった多重債務問題に関する実証研究の中で、日本ではマネープロブレムについて議論されてきたものの、家計管理上の問題が家計管理者に与える影響については十分に明らかにされていない。④資源配分研究は、子育て世帯を対象とした調査に基づくものであったとしても、子育て費用やそれをめぐる支出配分への関心は必ずしも高くない。 以上の研究結果について、研究会「女性の貧困をいかに捉えるか―『世帯の中に隠れた貧困』を可視化するために」(法政大学大原社会問題研究所「子どもの労働と貧困」研究プロジェクト/女性労働研究史研究会合同研究会、2019年3月22日)で報告した。
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