| 研究課題/領域番号 |
16K02032
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
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| 研究分担者 |
野澤 俊介 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任准教授 (50771325)
山下 里香 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員 (70774206)
宮崎 あゆみ お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 研究員 (90750216)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | ジェンダー / メディア / 言語 / セクシュアリティ / サービス産業 / アイデンティティ / コミュニケーション |
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| 研究実績の概要 |
平成２８年度においては、メイドカフェにおける調査の準備、および一大学の女装コンテストの参加者/企画者へのインタビューとエスノグラフィー調査を行った。メイドカフェ調査においては、メイドカフェの訪問、調査協力者探し、および秋葉原の女装男装カフェ研究の専門家を招いたワークショップを開催した。サービス産業におけるジェンダー化に繋がるもう一つの事例として行った大学の女装コンテスト調査においては、 イベントの準備と当日の観察を行い、ツイッターを分析し、広く関係者にインタビューを行うという多角的な調査方法により、トランスジェンダー、フェミニズム、ミソジニーなど、女装をめぐる様々な意味付けが浮かび上がっている。本調査は、ジェンダーとセクシュアリティが複雑に絡み合う様相を捉えており、ジェンダー研究における重要な課題であるジェンダーとセクシュアリティとを接続した分析に展開している。また、本調査では、新しい方法論の模索として、当該コンテストのツイッターのコミュニケーションのデータ化に関する議論も重ねた。
調査に並行し、各研究分担者は、メディア研究、若者研究、ジェンダー・セクシュアリティ研究、サービス産業や情動労働、調査方法論に関して文献調査、およびメディアと日常の言語実践の分析を行った。関連した成果は、国内外の学会発表、および研究論文として公表することができた。具体的には、国際ジェンダーと言語学会(International Gender and Language Association)、アメリカ応用学会（Association of Applied Linguistics）、日本文化人類学会研究大会、社会言語科学会研究大会などでの口頭発表を行った。また、『社会言語科学』に、１本の査読付き論文を掲載するに至った。これらの研究会や学会発表を通して、国内外の関連の研究者との交流および議論が進んだ。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたメイドカフェにおける調査は、メイドカフェを訪問し、調査募集のフライヤーを配布するなど努めたが、調査協力者の確保に時間かかっている。29年度には調査協力者の確保の方策を工夫しながら、継続して調査を進めていく予定である。
一方で、メイドカフェ調査の準備と並行して、28年度11月末に大学における女装コンテストのインタビューおよびエスノグラフィー調査を行うことができた。女装はメディアスケープで広く流布するイメージであり、近年大学や高校を中心に若年層で実践が広がっている。女装コンテスト調査では、サービス産業のジェンダー化の解明に関わっていながら、メイドカフェ調査のみではとらえきれなかったジェンダーとセクシュアリティの表象が様々に錯綜した現象を扱うことができ、新規の現象をとらえることができたといえる。現在、収集した音声・録画データから、重要な部分を選択する作業にとりかかっており、作業が終わり次第、29年度中にテープ起こし等の委託を行う予定である。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成２９年度においては、１）メイドカフェ等の業務形態におけるサービス労働とジェンダー化された言語使用の研究について、前年度の若干の遅れを取り戻すため、調査協力者確保のための新たな方策を試行し、言語使用の参与観察・社会言語学的インタビューなどの調査を具体的に展開する。２）前年度活動の射程において浮上した研究対象である女装（男装）文化を巡る言語実践に関しては、これまで培ってきた研究協力者との連携をさらに深化させ、当事者による自己表出の様相やメディアにおける表象のされ方に注目し関連する諸問題（フェミニズム、身体性、イデオロギーなど）の分析を試みる。３）ジェンダー・言語に関するメディア分析・データ蒐集を前年度より継続して行い、ヘジェモニックな規範の生成やその社会的再文脈化のより具体的な記述を試みる。４）関連文献の蒐集も前年度に続けて行い、月１回ほどの研究会を開き文献のレビューやデータの整理・分析を通して、多角的・横断的な理論的枠組みを構築する。５）関連分野の研究者を不定期の勉強会に招き、さらに公開シンポジウムの実施を通して研究成果の共有を図る。また学会その他の発表にも積極的に参加する予定である。６）当初実施計画の通り、学術雑誌等における特別号の編集を企画、進捗状況に合わせて実行する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたメイドカフェにおける調査は、メイドカフェを訪問し、調査募集のフライヤーを配布するなど努めたが、調査協力者の確保に時間かかっており、調査費用を次年度に繰り越すことになった。また、大学における女装コンテスト調査においては、重要なデータを収集することができたが、データが膨大であり、メイドカフェの調査との兼ね合いで、どのデータに費用を使ってテープ起こしを行うかを検討中であり、今年度に繰り越した。
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| 次年度使用額の使用計画 |
メイドカフェにおける調査は、29年度に継続して進めるため、次年度使用額より、インタビューの謝礼などの調査費用を使用する。また、メイドカフェ調査の進行と共に、平成28年度の大学の女装コンテスト調査のテープ起こしの箇所を選定し、繰越金を使用する。
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