研究課題/領域番号 |
16K02038
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
園部 裕子 香川大学, 経済学部, 教授 (20452667)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会開発 / 協働行動 / 西アフリカ / 女性 / マリ |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き現地マリの政情が不安定で、南部地域についても外務省による渡航中止勧告が発令されているため、現地調査を実施することはできなかった。そのため連帯経済と西アフリカの女性の組織化、それによる女性の地位の変容について文献調査を進めることとし、ベルギー、フランス等で資料収集を行った。その結果、以下のような成果があった:①近年、西アフリカの女性の地位については、とくに若年層の域内移住労働の増加が注目されており、政変前までの現地調査に基づく報告も見られる。若年女性はおもに農村部から都市部に家事労働者として移動し、一定期間、労働に従事した後に帰村し結婚する。そうした都市労働は、収入を得る目的よりは、人生経験や「自己実現」としての意味合いが強い。②マリ南部の住民組織については、バンバラ人村落を対象とする事例報告がある。こうした村落組織と女性による協働労働を目的とする組織がどのように連携しているかについては、さらに調査を要する。③シアバター関係組織をめぐっては、2017年以降にアメリカの開発支援組織などによる支援プログラムが始動している。女性子ども担当省はじめ行政によるプロジェクトとしての側面も、強化されていると思われる。 2014年の予備調査時点では、長引く政情不安のため、各組織とも情報コミュニケーション手段の不足や設備投資の困難など、組織運営の困難を訴えていた。世界的なエコロジー志向の高まりとともにシアバターの需要は急増している。主要生産地西アフリカのマクロな政治経済的状況が、生産者組織の生き残り戦略にどのような影響をもたらしているかについても、今後は見極める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献資料の収集は進んでいる。しかし研究費応募時に改善すると思われていた現地情勢がさらに不安定な状況になり、渡航中止勧告が発令され続けている。そのため現地調査を実地することができていない。周辺国での類似の女性組織に対する調査も検討できるが、対象となるブルキナ・ファソでもテロ事件が発生するなど、慎重に検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き文献資料に基づく理論面の分析を進めるとともに、調査の実施可能性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査が実施できなかったため、そのための旅費等の関連経費が次年度使用額として繰り越されている。現地調査の実施の可否を検討し、可能であれば年度中に実施する。
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