研究課題/領域番号 |
16K02048
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
大槻 奈巳 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (30356133)
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研究分担者 |
鵜沢 由美子 明星大学, 人文学部, 教授 (00613192)
江頭 説子 杏林大学, 医学部, 講師 (20757413)
田口 久美子 和洋女子大学, 人文学部, 教授 (40275110)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ジェンダー / 派遣労働 / 非正規雇用 |
研究実績の概要 |
人材派遣会社2社、人材派遣会社ネットワーク事務局1つ、派遣労働者9名にインタビュー調査を実施した。労働者8名は2016年度にもインタビューを実施した対象者である。事前アンケートを実施しその中から対象者を選定した。さらに、12月にWEBモニターで派遣労働者にアンケート調査を実施し1650票の有効回収を得た。 成果としては、第一に、2015年に改正された労働者派遣法における「雇用安定措置」のひとつとしての「無期雇用」転換に焦点をあて、事務職派遣労働者が「無期雇用」転換のプロセスにおいて何を考え、何を基準に選択したのかについて、実施したアンケートおよびインタビュー調査をもとに分析した。派遣労働者が多様な就業形態や長短のある契約期間を組み合わせて、就業し続けるというキャリア形成を模索していることが明らかとなった。 第二に、派遣法改正により増加した技術職における無期雇用派遣および「正社員」の実態を、派遣技術者へのアンケート調査、インタビュー調査、および派遣元会社からの聞き取り調査により検討した。その結果、技術者の無期雇用派遣「正社員」は、1995年に経団連が発表した「新時代の『日本的経営』」で示された労働者の3類型、「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」を架橋するような存在となりうる可能性を見出した。その一方、「正社員の代替にしない」はずの派遣法の精神が骨抜きになっていること、キャリア形成の困難が伴うことなどの課題も明らかとなった。 第三に、2016年度のインタビュー調査から、派遣労働者として働く女性たちが受けたセクシャル・ハラスメントやマタニティ・ハラスメントが明らかになったことから、アンケート調査を行ったところ、なんらかのハラスメントを受けている派遣労働者の割合は女性も男性も3割を超えること、セクハラを受けたと答えた女性は、女性全体のおよそ15%と高いことが明らかになった。
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