研究課題/領域番号 |
16K02052
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
加藤 秀一 明治学院大学, 社会学部, 教授 (00247149)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ジェンダー / 生物学 / 科学社会学 |
研究実績の概要 |
初年度は、ジェンダー論と進化生物学との間でこれまでに行われてきたやりとりを跡づける作業の土台を作るために、これまでにジェンダー論(あるいはフェミニズム)と進化生物学との対話促進を趣旨として掲げて行われた3つの(それぞれに開催時期も開催場所も異なる)シンポジウムを柱として立て、それぞれの記録間に見られる異同を調査することを主たる課題とした。言うまでもなく、それを補うために他の諸文献をも検討した。 検討すべき素材として選ばれた3つのシンポジウムは、(1)1976年にパリで開催された、社会学者Evelyne Sullerotと生物学者Odette Thibautを主催者とするシンポジウム「女性をめぐる事実」(Le fait feminin)。その記録は2年後に出版され、1983年には邦訳も出版されている。 (2)生物学者Patricia Gowatyの主催によって1994年にジョージア大学で開催された「Evolutionary Biology and Feminism」シンポジウム。その記録は、Feminism and Evolutionary Biology - Boundaries, intersections and frontiers.として、1997年にChapman & Hallから出版されている。 (3)前2者に比べると非常に小規模のものではあるが、2006年に日本学術会議主催で行われた公開講演会に基づき、2007年に出版された記録『性差とは何か:ジェンダー研究と生物学の対話』。 これらの内容の詳しい比較検討作業はなお続行中であるが、それぞれにおいてジェンダー論者と生物学者との間には深刻な齟齬が見られること、そしてそれは、(1)から(3)までに経過した30年という年月にもかかわらず、必ずしも解決される方向に進んでいるとは言えないことが見えてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1970年代半ば以降、進化生物学や行動生態学が新たなステージに入り、生物の行動に関する従来の社会科学モデルに対する批判が強まったことは周知の事実であり、とりわけ性選択研究の進展を背景として、生物学の側から社会科学的なジェンダー論に批判的に言及する文献が膨大なものとなったことから、上記3つのシンポジウム以外の文献調査に予想以上に手間取っている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の進捗状況はやや遅れていると言わざるを得ないものの、抜本的に研究計画を見直さなければならないような事態ではなく、第2年度以降も当初の計画に基づいて文献調査を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた書籍が期日までに到着しなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた次年度使用額はわずかなものであり、特別な使用計画はない。おそらく次年度の出張旅費または消耗品費として使用することになる。
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