研究課題/領域番号 |
16K02057
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
斎藤 真緒 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70360245)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 男性介護者 / 介護殺人 / 介護者支援 |
研究実績の概要 |
男性介護者のピアサポート活動の実態について、インターネット調査を行い、主催者の特性についての分析を行った。その結果、男性介護者当事者だけではなく、自治体や介護施設、NPO団体などが主催者となっているケースも確認された。自治体などでの介護者支援や家族介護に関する講演を行い、これまでの研究成果の還元を行った。とりわけ、介護者支援の主要な課題である介護と仕事の両立については、自治体主催の企業人事担当者向け講演及びワークショップを行った。 後期からは、イギリスの学外研究期間となり、The University of Sheffieldに在籍し、イギリス最大のケアに関する研究所であるThe Centre for International Research on Care, Labour & Equalitiesの客員研究員として研究を継続した。特に所長であるSue Yeandle教授の指導のもと、ケアと仕事の両立チームに所属し、定期的にミーティングに参加した。さらに、研究所を通じて、多くの研究者とネットワークを構築すると同時に、介護者支援団体のCarers UKや、認知症ケアに取り組むThe Age UKなどの団体との関係も構築することができた。 イギリスでの、介護者の多様化に大きな関心が注がれるようになり、研究センターのミーティングで、日本の男性介護者支援に関する報告を行った(2019年3月26日)。本研究テーマである介護殺人にかかわっては、イギリスのmercy murder(慈悲殺人)との関連性・比較という興味深い提案をいただいた。 なお、男性介護者研究については、新書出版のオファーがあり、より多くの人への研究成果の還元を目指して、2019年出版予定で準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018年末からの家庭の事情(夫の別居、7月末に離婚が成立)により、子育てにより多くの時間がとられることとなった。さらに、学外研究で滞在しているイギリスでは、長男の障害に対して、マンツーマンの支援(Teaching Assistant)が必要と判断されたが、学校が午前中しかティーチングアシスタントを確保できておらず、長男が午前中しか学校に通学できていない状況が続いているために、自らの研究に十分な時間を確保するのが難しい状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
前期は、イギリスでの学外研究期間中であり、研究センターのメンバーとして活動すると同時に、イギリスの最新の介護者支援に関する取り組みについて支援団体(Carers UK, the Age UK)を継続的に調査する。またmercy murder(慈悲殺人)についても、新聞記事を含めて情報収集を行う。昨年提案された新書出版の準備を行う。 なお、子育てとの両立については、保育園、学童保育・放課後デイサービス(長男)を利用する以外に、子供たちの精神的安寧が確保される範囲内で、ファミリーサポートセンターおよびシルバー人材センターを利用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本での私生活における生活環境の変化(離婚、シングルマザー)および、イギリスでの子どもの学校生活の安定に時間がかかり、2018年度は研究時間が十分に確保できず、2019年度まで研究を延長することとなった。 2019年度においても、調査の時間が十分確保できないことが見込まれるので、調査方法を、参与観察(出張)から、メールや電話等でのやり取りに、一部変更する。 また、データ検索や資料収集については、補助員を雇用し負担軽減を目指す。
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