年度当初から9月末までは、学外研究期間で、イギリスのシェフィールド大学に在籍していた。 イギリスでは、介護者支援にかかわる調査として、Carers UK(2019年9月)と、Alzheimer Disease International(2019年9月)へのインタビュー調査を行った。Carers UKでは、とりわけ、Employers UKの取組についてヒアリングを行った。制度・支援プログラムの開発に先駆けて、Carers UKでは、大企業、中小企業の経営者たちを組織化し、経営者レベルでの介護者支援についての意見交換、先駆的プログラムの共有の仕組みを作り上げており、日本の介護と仕事との両立の具体化に向けて、たくさんの知見を得ることができた。また、研究所主催で行われたEU全体での介護者支援の取組を強化するためのネットワークEuro Carersの代表との意見交換会や研究所主催のシンポジウムにも参加させていただいた。 2019年9月にはスペインで開催された国際学会で日本の男性介護者についての報告を行った。東アジアだけではなく、「(再)家族化」という傾向が世界的に確認されると同時に、ジェンダーの観点を含む介護者支援の研究の拡大について、広くネットワークを獲得することができた。また、男性性については、6月にロンドンでの学会(Post Patriarchal Masculinities Conference in: SOAS)に参加し、イギリスでの最新の議論状況について把握することができた。帰国後、2020年3月には、男性介護者と支援者の全国ネットワークにおいて、イギリスを中心とする世界の介護者支援の最前線について報告し、社会還元をする予定であった(コロナの影響で延期となっている)。
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