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2018 年度 実施状況報告書

中世の紀伊半島における歴史遺跡・名所の創作および保存・活用事業データベースの作成

研究課題

研究課題/領域番号 16K02069
研究機関和歌山大学

研究代表者

海津 一朗  和歌山大学, 教育学部, 教授 (20221864)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード禅律僧 / 紀州惣国 / 高野山 / 根来寺 / 無本覚心 / 空海伝説 / 神戦 / 聖
研究実績の概要

昨年に引き続いて、13c高野山金剛峯寺を中心とする歴史遺跡等の創作過程を集中的に分析して、その核心となる弘法大師「御手印縁起」絵図について、建武政権を射程に入れて結論を出した。
根来寺による遺跡捏造については、伊太祁曽神社文書を解読して、祭神や境内・荘園史跡(覚鑁伝説の実体化)などが改竄・創作される過程を追求し、ついでに日前宮の為光伝説作りについても確認した。高野山・根来寺ともに、寺内の禅律僧勢力が遺跡作りを主導していたことが明らかになった。
紀南地域については、熊野信仰圏を根城にする山伏・聖勢力(時衆や融通衆)、湯浅の華厳教団(明恵・喜海)、由良の刈萱聖教団(法灯波・虚無僧衆)などがキーパーソン集団となることを付き止めた。熊野古道については、データベースつくりのための事例ピックアップがほぼ終了し、他も概要は掌握できた。
ミネルヴァで刊行した研究成果、『世界史とつながる日本史』(海津他編)をもちいた研究成果の普及活動についても、歴史系学界の最高峰である日本歴史学協会・日本学術会議のシンポジウム、和歌山の歴史教育者協議会の年次大会における報告などを積極的に行った。さらに、歴史教育の分野で、紀伊半島の発信する世界的な交流・広がりが注目されて、高校新科目の歴史総合(日本史と世界史の統合的な理解)への応用が期待されるようになった。先のミネルヴァ本が、教育現場の幅広い教員層(関西圏だけでなく全国)に方法論的に着目され受容された。この点は、こちらの研究効果(意図)とは異なる、新たな副産物といえるだろう。

現在までの達成度
現在までの達成度

4: 遅れている

理由

3年次にとりかかる予定だった諸データのとりまとめの作業が職場の設備事情で不可能になった。すなわち在勤している大学の研究棟の建て替え工事(2018・2019)により、研究室と4つの実験室(歴史史料保管室、レプリカ史料館他)が閉鎖されるという事態になり、紀伊半島にわたる時代ごとの史料分類のスペースが得られず作業中断中である。2019年度の再移転後にとりまとめが可能になる。
加えて、同じく(教育専門職の養成を最優先するという)職場の事情によって、研究の成果が学校教育現場で活用することが大幅に期待されており、この面での広報・活用の負担が増大したこと

今後の研究の推進方策

研究室の10月再移転、来年度の最終移転の進行状況を踏まえると、当初予定のデータの集約、データベースの作成はきわめて困難な状況にある。すでに、複数のグルーピングによって、紀伊半島の個性的な歴史遺跡・物語創作(捏造)のあり方が明らかになっている。その各々について、可能な限り特色を明示して差別化した分類マップを作成して成果品とした。これによって、紀伊半島の紀ノ川筋、由良白崎半島、那智勝浦海域など、創作遺跡の濃淡(多寡)や推進した宗教勢力の特色が概観できるはずである。
懸案の歴史教育との関係については、重源・明恵・覚心など宗教勢力が高野山や由良・加太を介して中国のニンポウに拠点を持っていたことを重点的に示したい。欧米やオランダなどに支配される以前の中世日本が、倭寇文化圏(ラドロイス)とよばれる国際秩序の中で動いていたこと、その窓口が紀伊半島だったことを、できるだけ効果的な形で教材化してみたい

次年度使用額が生じた理由

所属する研究施設(和歌山大学教育学部研究棟)が2018年度・改装により閉鎖になったため、データベースの作成のための収蔵資料のチェックが不可能になり、史料収集と連絡広報のための出張費、データ整理の人件費、そのための消耗品費がすべて使用できなくなった。
したがって、使用計画は基本的に前年段階にて実施しようとこころみたデータ整理・公開・広報のための旅費・人件費・一部設備備品費(使用不可能な研究室に一時代替できる移動用ハードデイスクなど)を使用したい。
研究成果の広報活動については、2017年度刊行したミネルバ書院の著書を普及させることを主眼に置き、そこに「紀伊半島名所・遺跡地図」(仮称)を添付して配布したい。

備考

和歌山大学 学術リポジトリ

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 後醍醐天皇による「御手印縁起」の制作2019

    • 著者名/発表者名
      海津一朗
    • 雑誌名

      和歌山大学教育学部紀要 人文科学

      巻: 69 ページ: 1-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 高揚する民衆運動ー異国征伐を選んだ紀州民衆の姿2019

    • 著者名/発表者名
      海津一朗
    • 雑誌名

      紀州研ニュースレター・きのみなと

      巻: 2 ページ: 2-2

  • [学会発表] 地域から考える「歴史総合」ー紀伊半島からの視座2018

    • 著者名/発表者名
      海津一朗
    • 学会等名
      日本歴史学協会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 地域から考える「歴史総合」「地理総合」ー世界史とつながる日本史の挑戦ー2018

    • 著者名/発表者名
      海津一朗
    • 学会等名
      和歌山県歴史教育者協議会2018大会
    • 招待講演
  • [図書] 新 神風と悪党の世紀2018

    • 著者名/発表者名
      海津一朗
    • 総ページ数
      252
    • 出版者
      文学通信
  • [備考] 後醍醐天皇による御手印縁起の制作

    • URL

      http://repository.center.wakayama-u.ac.jp/3508

  • [備考] 高野山御手印縁起と中世国家

    • URL

      http://repository.center.wakayama-u.ac.jp/3264

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公開日: 2019-12-27  

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