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2019 年度 研究成果報告書

中世の紀伊半島における歴史遺跡・名所の創作および保存・活用事業データベースの作成

研究課題

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研究課題/領域番号 16K02069
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
研究分野 観光学
研究機関和歌山大学

研究代表者

海津 一朗  和歌山大学, 教育学部, 教授 (20221864)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード捏造 / 名所旧跡 / 禅律僧 / 遊行上人 / 遺跡 / 自力救済 / 観光学批判
研究成果の概要

紀伊半島は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣通」登録にみられる如く、多様な名所旧跡・宗教遺跡が散在する。その成立過程を包括的に分析するのが本研究の課題である。
ほぼすべてが、中世成立期の禅律僧勢力(旧仏教の改革派)による民衆組織の過程で作り出された遺跡であり、時宗教団による熊野王子興行1221年、明恵教団による湯浅遺跡興行1230年、律宗教団による高野山町石道興行1281年の3波が画期となり西国全域に「遺跡興行(復活)」の政治運動が広がった。
中世に惣国一揆が滅亡して以後も、紀伊半島では遺跡創作の伝統が長く生き続けて、平家物語・太平記・小栗判官・道成寺・苅萱など虚構の史跡捏造が広範囲で行われた。

自由記述の分野

観光学

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究により、一部の埋蔵文化財を除いて、今日諸文化財指定・世界遺産登録されている紀伊半島の歴史遺産は、大半が中世起源の創作と認定される。さらに、そのなかの相当数が、現在の所伝とは異なる由緒をもつ創作遺跡であることが明らかになった。したがって、中世以来の史跡指定事業は、誤った歴史認識を地域民衆に摺込んだという負の側面をもつ。
だが、その一方で、地域民衆に歴史への関心を呼び覚まして、文化遺産の大切さを伝えたという意義もある(この点で、近代の皇国史観による勤王史跡指定などの歪なナショナリズム摺込みとは大きく異なる)。このような中世の史跡指定事業の功罪両面を踏まえることで今日の観光行政に自省を促す。

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公開日: 2021-02-19  

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