研究課題/領域番号 |
16K02070
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
藤田 武弘 和歌山大学, 観光学部, 教授 (70244663)
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研究分担者 |
大西 敏夫 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90233212)
大浦 由美 和歌山大学, 観光学部, 教授 (80252279)
大井 達雄 和歌山大学, 観光学部, 教授 (10367881)
岸上 光克 和歌山大学, 地域活性化総合センター, 准教授 (20708002)
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
辻 和良 和歌山大学, 食農総合研究所, 特任教授 (00573784)
植田 淳子 和歌山大学, 食農総合研究所, 特任助教 (20779186)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 移住 / 定住 / 都市農村交流 / ワーキングホリデー / コミュニティ |
研究実績の概要 |
和歌山県では、2006年から移住・交流事業に取り組んでおり、市町村に移住相談に対応する「ワンストップパーソン」を置き、行政と住民との間で中間支援を行う受入協議会を設置している。そこで、移住・交流推進事業以降に県内に移住した世帯に対してアンケート調査を実施し、以下の結論を得た(配布数260、回収数112、回収率43.1%)。 ①各年齢層ともに、移住の動機や居住地決定の際の理由が、移住後の生活の中でほぼ実現されており、生活全般に対する満足度に繋がっている、②多くの移住者が地域住民との交流を図りながら定住の意向を示すなど、過疎化・高齢化が進行する農山村の新たな担い手(新規就農や起業化など)となっている、③一方で、受入側の課題として、市町村窓口の充実、空き家等住居関連情報提供の充実、移住前に検討すべき情報(買い物や通院の不便や生活費など)の提供、集落の取り組み等のコミュニティ活動のルールを説明する場の提供等がある。 さらに、先進地事例として取り上げた長野県飯田市において、従来の研究では充分に言及されることのなかった都市農村交流を媒介とした農業・農村の担い手確保の実態分析(アンケート・ヒアリング調査を併用)を通じて、農村ワーキングホリデーの役割と意義について、以下の結論を得た(ワーキングホリデー飯田に参加したのちに、農村へ移住したIターン者ならびにワーキングホリデー受入農家が調査対象)。 ①移住者に移住のきっかけを与え、移住者や後継者に農業を生業として捉えるきっかけを与えること、②仕事・住まい・暮らしなど移住の基盤を整える手助けとなること、③移住後の生活や農業経営に「交流」という視点を与えること、である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主たる研究対象地域である和歌山県内の農山村については、移住・定住を推進する中間支援組織の役割が有効に機能していると思われる紀美野町(きみの定住を支援する会)ならびに町行政の支援の下で、より次年度以降に実施予定のインセンティブな調査に対する協力が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
農山村移住者の仕事・暮らしの確保状況について、6次産業化を含む起業化動向を中心に、その経済波及効果に関する分析を実施する予定である(産業連関分析と乗数理論を援用)。当面は、調査協力への支援が得られている紀美野町での分析を手掛かりに進めることになる。その際、季節性を伴う事業に関して、データの偏りが出ないように定期的に定点観測することへの配慮が求められる。 また、移住者を受け入れる側の地域コミュニティの変容動向の分析に関して、移住者世帯員へのアンケート調査実施に向けた協力と実施体制に関する現地との調整を行うことが鍵となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者への配分額において、次年度への繰越が生じたため(理由:当初購入予定の書籍資料の出版が遅延した)。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者における今年度課題の遂行過程で相殺する予定(計画:平成29年度の書籍購入等に充当する)。
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