研究実績の概要 |
令和元年度の研究成果として,論文1本(「小地域統計を利用したインバウンド観光の季節変動分析」),国際学会報告1本,国内学会報告2本という状況である。 論文については,観光統計の多くが都道府県,または市区町村を集計単位としていることを問題視し,今後は小地域統計を中心とした分析が重要となることを指摘した。その上で観光学研究における小地域統計を使用した分析の一例として,(株)NTTドコモのモバイル空間統計のデータを通じて,ジニ係数を使用した季節変動分析を行うことを内容としている。その結果,大阪駅周辺や南海難波駅などの観光客数の多いエリア,すなわちホットスポットにおいては季節変動が小さいことがわかった。これは大阪市が都市観光を中心としており,季節性の影響が少ないことが影響している。また,大阪市24区別で整理した場合には明確な格差を見出すことができた。すなわち,外国人観光客数の絶対数が多く,同時に季節変動の小さい勝ち組グループ(中央区,天王寺区,西区,浪速区,北区,福島区)と,外国人観光客数の絶対数が少なく,同時に季節変動の大きい負け組グループ(住之江区,旭区,東住吉区などの15区)である。一方で国籍・地域別の分析についても,おおむね共通性がみられる。 学会報告では,海外では,VIII International Tourism, Economy and Environment Congress(スペイン・アルメリア大学),経済統計学会主催の第63回全国研究大会(東北学院大学),経済統計学会東北・関東支部例会(立教大学)などで報告し,学際的な研究者と討論することができた。
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