研究課題
最終年度にあたる2020年度には、これまでの研究活動を総括し、研究課題である日本型メディア・ツーリズムをめぐる実証的研究と理論構築を試みるため、その研究成果の公開に取り組んだ。まず本研究課題による主な成果として、メディア研究のなかでもメディア・リテラシーをめぐる先行研究を参照し、ツーリズム・リテラシーという概念を構想し、共同研究者や学会で交流のある研究者と協力して、その実証的研究と理論構築に尽力した。その一つが2021年2月に公刊した研究書『観光のレッスン――ツーリズム・リテラシー入門』(新曜社、共著)であり、とくに同書の1章および4章において、上述のツーリズム・リテラシー概念について定義を記し、その理論的展開を試みた。そしてツーリズム・リテラシーの理論的背景と歴史的位置付けについては、同じく2021年2月の観光学術学会・研究集会における研究発表「観光を学び問う価値とは――コロナ禍とツーリズム・リテラシー」においておこなった。コロナ禍の影響から、当初に予定していた最終年度の実地調査は断念せざるを得なかったが、しかし研究費と研究時間を上述の研究成果の公表へ集約することができたため、共同研究者および学会関係者とともにツーリズム・リテラシーという新概念を整備し、その研究成果を研究書や学会発表などによって公開できた。これらは本研究課題を計画した5年前の段階では想定できなかったものであり、今後はツーリズム・リテラシーをはじめとする本研究課題の遂行中に発見したテーマについて、さらに探究していく計画である。
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観光研究
巻: 第31巻第2号 ページ: 76-77