研究課題/領域番号 |
16K02088
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
松本 和久 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (40635348)
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研究分担者 |
安田 和夫 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (50760758)
櫻井 康博 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40741088)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 特別支援学校 / 修学旅行 / 支援や配慮 / 旅行業者 |
研究実績の概要 |
2017年2月に実施した,岐阜県の特別支援学校21校で修学旅行を担当する小学部・中学部・高等部の教師に対する質問紙調査について,その結果を分析した。 特別支援学校の修学旅行で最も必要とされたのは,児童生徒の興味・関心や実態に応じた活動となるような配慮であった。仮に行き先は前年度と同じであっても,その年に参加する児童生徒に合わせて交通手段や行程,活動内容の再検討が必要となる。また,児童生徒の安全・安心に関する配慮は不可欠であり,そのため実際に行われた支援の内容は,修学旅行の主たる目的である見学や体験に関することよりも,移動、宿泊、食事に関することが多く挙げられた。 移動に関しては,車いす席や多目的室のある車両の利用が多く挙げられた。しかし,車いすの児童生徒が多く在籍していると,新幹線を利用した修学旅行は計画できないのが現状である。宿泊に関しては,近年「バリアフリールーム」を設置している旅館やホテルも増えており,そうした車いす対応客室の利用が最も多く挙げられた。和室であること,ユニットバスでなくトイレと浴室が分かれていることなどが,宿泊先に求められるポイントと言える。食事に関しては,アレルギーへの対応は一般の小・中・高等学校の修学旅行でも行われるが,特別支援学校の修学旅行にはペースト食や刻み食といった二次調理への対応も不可欠である。対応を旅行会社に依頼した学校もあったが,その詳細がレストランに正しく伝わらないこともあるようで,学校から直接依頼したケースも多かった。 これらの支援の内容を,旅行会社をはじめ交通機関,宿泊先,レストランなどの関係者に事前に知ってもらえれば,児童生徒にとってより安全・安心で楽しく充実した修学旅行になるであろう。また,教師にとっても,修学旅行の企画・立案,そして当日の引率における負担が軽減されると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では,平成29年度は特別支援学校にご協力いただき,小学部・中学部・高等部の修学旅行に実際に同行することを通して,特別支援学校の修学旅行に必要な配慮や支援内容や方法を検証を試みる予定であった。 特別支援学校小学部の修学旅行に同行調査をしたところ,特別支援学校の修学旅行に必要な支援や配慮のポイントは,修学旅行当日よりも事前の計画段階にあると考えられた。そこで,同行調査ではなく他の方法による検証へと,研究計画の変更を検討していたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,特別支援学校の修学旅行において,児童生徒にとって予想される困難さとその対応例を整理し,旅行業者・関係者の方に知ってもらえるような『特別支援学校の修学旅行を計画する際のポイント』を作成し,その内容について特別支援学校で修学旅行の計画立案・引率に携わる教師への面接調査を通して検証していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
特別支援学校の小学部・中学部・高等部の修学旅行への同行調査の旅費を計上していたが,小学部の修学旅行にのみ同行したため。 今後,中学部・高等部の修学旅行への同行調査は行わない予定である。その分を,特別支援学校で修学旅行を担当する教師に対する面接調査の旅費に充てる予定である。
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