観光土産の消費拡大のためには、観光土産として購買された商品のリピート購買 (連鎖消費) の喚起が必要である。インバウンド観光における観光土産の消費を、帰国後のオンラインにおけるリピート購買に結びつけることができれば、地域の観光産業の販路のグローバル化が可能になる。 本研究は、中国人旅行者に焦点をあて、観光土産として購買された商品の越境EC(国境をまたいだオンライン上の商取引)によるリピート購買を調査し、観光土産の消費拡大のためのマーケティング・アプローチの方法を提案することを目的としている。 平成30年度は、訪日旅行者から観光土産を受贈した中国国内の「受け手」を対象に調査分析を行い、受贈した観光土産を越境ECにより購買する受け手は、慎重な購買を行う傾向にあり、日本の菓子への信頼性が高く、当該観光土産をもらった経験があり、その際に中国語の表記がなされている点を評価することを明らかにした。 本研究期間に明らかになった知見は次のとおりである。(1) 訪日頻度が高まるにつれ、観光土産に対するこだわりが強くなり、地域の特産品の認知や理解が高まり、売り手とのコミュニケーションで新たな情報を収集し購買を行っていること、(2) 観光土産の受け手の約5割が受贈された観光土産を消費後に再び購買し、そのうち半数が越境ECを利用し、利用理由は取引や品質の安全性が高いと考えるためであること、(3) 北海道とその他の地域での購買者の比較では、最も気に入った商品カテゴリ、購買店舗に差異があり、北海道の観光土産は特産品であることが評価され、帰国後のリピート購買では旬の農産物への購買意向が強いこと、(4) 日本の消費者に知名度の高い有名な観光土産ブランドや大手菓子メーカーのブランドとならび、日本の消費者に知名度の低い地域事業者の中小メーカーで、買い手や受け手のブランド認知が高いメーカーが存在すること。
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