研究課題/領域番号 |
16K02098
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
三浦 知子 長崎国際大学, 人間社会学部, 講師 (30552690)
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研究分担者 |
古賀 学 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00511817)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 都市農村協働 / 地域振興 / 産直提携 / グリーンツーリズム |
研究実績の概要 |
本研究は、産直提携交流、ふるさと食品、グリーン・ツーリズム発展過程と地域、農業政策、生産者・消費者の対等な連携交流の4つの段階に着目し、都市農村協働の計画論を構築することを目的とする。1年目の平成28年度は既往研究の整理を行うとともに、研究分担者との連絡調整により研究体制を整えた。日本造園学会、日本観光研究学会の大会に参加し、最新の研究動向の知見を得たほか、定期的に同様の研究テーマを持つ研究者との研究会の機会を持ち、都市農村協働の枠組みについて検討した。 1970年代から都市との産直提携が継続されている、山形県飽海郡遊佐町について、これまで蒐集したデータや資料をもとに、研究論文を作成し、日本NPO学会の全国大会で発表した。生活クラブ生協との産直提携に端を発するこの取り組みは、40年の年月を経て、地域経営、とりわけ女性の活動に間接的に影響を与えてきた。近年取り組まれた地域の伝統食の継承に関する活動が、こうした一連の産直提携の活動の結果起こったことであることが明らかとなった。 併せて、生産者・消費者の連携交流としての一段階として、一村一品運動に着目している。これまでの経緯について、文献を元に整理し、今後の調査について検討を行った。一村一品運動は、大分県知事となった平松守彦氏によって提唱されたが、現日田市大山町や現由布市の地域振興等で成果を残している。一村一品運動は地方が自ら発信した点で評価されるだけではなく、各地域に特産品が数多く産み出され、人材育成の場となった点等で高く評価されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで研究調査を行ってきた各地域については、より考察を深めることができた。山形県飽海郡遊佐町の事例については、本研究テーマの観点から事例の再構築を行い、日本NPO学会で発表を行った(論文提出は2017年3月、発表は2017年5月実施)。 平成29年度は28年度の成果をもとに、調査研究を継続する。地域側の事情、地理的な制約、研究代表者及び研究分担者の業務等により、平成29年度の担当地域について、若干の見直しを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
山形県遊佐町については引き続き調査を継続する。山形県在来作物研究会の活動については、平成28年度のシンポジウムの内容を踏まえて、アンケート調査以外の調査方法について検討する。九州内の大分県日田市、福岡県うきは市についても平成29年度は重点的に調査を行い、一村一品運動以後の交流活動とその成果について明らかにする。富山県南砺市利賀、新潟県柏崎市高柳については、地域全体に影響すると想定される地域経営上の動きがあるため、間接的にかかわりのある団体について先に分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の研究計画のうち、山形県遊佐町、新潟県柏崎市高柳町に主軸をおいて研究を行ったため当初予定していた一部の調査旅費が生じなかった。高柳町については、外部の株式会社化の動きがあり、今年度の現地調査については検討中である。平成29年度に他の地域についても調査を行う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は平成28年度の調査に加えて、大分県日田市、福岡県うきは市についても調査を行う予定のため、それらの旅費が執行予定である。また、平成29年度に実施予定だった在来作物研究会会員へのアンケート調査については、現在個人情報等の問題から検討中であるが、調査実施の際には、分析データ入力作業に人件費及びヒアリング調査での謝金を執行予定である。
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